<産業革新投資機構が絡む、半導体企業>
~ルネサスの成功劇とJSRの未来~
2023年6月、産業革新投資機構が1兆円規模のお金を出して半導体材料企業のJSRを買収した。
そんな産業革新投資機構は、過去にも出資を通して半導体企業と密な関係を持っていた時期が存在した。
※JSRに関連する過去記事
そんな過去の事象について、お伝えしていきたいと思う。
11月9日、旧産業革新機構であるINCJがルネサスエレクトロニクスの株を売却して保有比率を完全にゼロとしたことを発表した。
それまで保有比率は6.65%であったが、それらを全て売却することで、約3000億円を手にすることとなった。
産業革新投資機構は2018年に産業革新機構が改組されて設立された官民ファンドである。
その前身である産業革新機構が2013年に業績が低迷(時価総額は約2000億円以下となった)した際、1383億円を出資し、筆頭株主となってルネサスの経営を支えた。
ルネサスエレクトロニクスは、ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスの経営統合により2010年4月に誕生した企業だ。
最悪な時期の時価総額2000億円から現在では、5兆円付近まで約25倍近くの増加という結果になった。
産業革新投資機構は売却収入で約1.4兆円以上の利益を得ており、官民ファンドが関わった投資としては稀に見る大成功の結果を収めたと言って良いだろう。
官民ファンドの支援が完全に無くなった状態のルネサスエレクトロニクス。
それとは逆に官民ファンドの支援を受ける側となったJSR。
ルネサスの再来となる結果を得られることができるだろうか?今後に注目していきたい。