<買収受け入れのJSR 果たして成功するのか?>

~危機感を公言する、ジョンソンCEO ~

 

 

 

 

 

 

 

6月26日、半導体素材大手のJSRが取締役会において、産業革新投資機構による約1兆円規模のTOB(株式公開買付)による買収へ応じることを正式に決定した。

 

 

 

JSRは元々、1957年に日本合成ゴムとして設立された企業だ。

しかし、かつての主力事業であった合成ゴム事業を含むエラストマー事業は2022年4月にENEOSへ売却された。

 

それだけ事態は重かったとも受け取れる。

 

 

 

JSRの強みは、半導体製造工程の前工程で主に使用するフォトレジストという感光性材料である。

現在のように、半導体の性能が進化してきた背景には、EUV(極端紫外線)などの露光技術フォトレジストの進化による影響がある。

 

このフォトレジストは、JSRの他に東京応化工業、信越化学工業ら合計5社の日本企業が世界シェア9割を占めている。

なお、そのトップに君臨するのがJSRだ。

 

JSRのCEOであるエリック・ジョンソン氏はこの買収・非上場化に際して、「長期的な成長力維持」や「業界再編の主導」などといった文言を会見で述べており、さらには中国への技術流出にも懸念を示していた。

 

非上場化により、短期的業績に影響を受けないようにし、研究開発設備投資へ繋げたい狙いがやはり最も大きいようだ。

 

 

この非上場化から数年後、JSRがどのような未来を歩んでいくのか、その辺りをしっかり注目して見ていきたい。