<TSMCと熊本県 環境影響評価の闇>

~TSMCは特別? 疑念積もる水問題~

 

 

 

急ピッチで進められているTSMC熊本工場の準備であるが、やはり根本的な問題は解決の道筋を見せていない。

というか、むしろ疑念は積もっていくばかりだ。

 

 

9月29日、熊本県は環境影響評価条例施行規則の対象事業改正を公布した。

 

具体的には、地下水保全地域における事業において、地下水の涵養などに十分な取り組みをしている事業に、地下水保全地域以外の地域に適用される規模要件(面積50ha以上)を適用するといった改正内容である。

 

 

 

上記のサイトに熊本県環境影響評価の項目がそれぞれ掲載されている。(条例改正前のもの)

今回、熊本県へ上陸した半導体受託製造大手のTSMCの熊本工場は項目『10番:工業団地の造成事業』に該当されている。

『10番:工業団地の造成事業』の内容は、「面積50ha以上(地下水保全地域は面積25ha以上)」といったものだ。

 

だが、工業団地の要件として定義されているのは”複数の工場を集める地域”であり、TSMC熊本工場はJASM(TSMCが過半を出資して構成されている日本版TSMCのような企業)一社のみであり、これを工業団地の要件に定めて良いのかという疑問が自然と挙がるだろう。

 

そのため、本来項目として該当されるべきなのは、『17番:工場、事業場』の「燃料使用量8kリットル/hまたは平均排出水量1万立方メートル/日以上(地下水保全地域では平均排出水量0.5万立法メートル/日以上)」だろう。

※1万立法メートル=1万トン

 

 

 

そこで、関連してくるのがTSMC熊本工場の1日の水使用量が8500トンと推定されていることだ。

これは上記の地下水保全地域に指定されている菊陽町の基準排出水量5000トンも普通に考えれば超えそうなため、環境影響評価を行わなければならない状況となる。

 

しかし、上記の状態を避けるために定義違いの『項目10番:工業団地の造成事業』へ該当させ、観点をずらしているのだろうと推測できる訳だ。

 

 

 

そんな疑惑が深まってきた所に今回の条例改正が重なったため、住民からは疑問の声が多数集まっていることがニュースでも報じられている事態だ。

 

 

ここからどのような進展を迎えそうなのか?引き続き要注目していきたい。