<メモリー市況の悪化 底脱出か?>

~米規制緩和のサムスンと危機のキオクシア~

 

 

 

 

昨年夏から続く半導体メモリー市況の悪化について、ようやく底が見えてきたのかもしれない。

 

 

 

 

韓国・サムスン電子は10月11日発表の2023年7〜9月期の連結決算において、営業利益が前年同期比較で78%減となる2兆4000億ウォン(約2650億円)であった。

 

前四半期(4〜6月期)と比べては3.6倍の増益となり、このところの半導体メモリー不況による業績悪化のどん底は脱出した様子だ。

売上高の面では、前四半期比較で12%増と回復の兆候が見られた。

 

なお、以前のメモリー市況低迷期は、前年比約40%の落ち込みだったが、2023年1〜4月期は市場規模56.8%減少という惨憺たる結果を招いた。(この市況悪化は、2022年7月から急速なものとなっていた)

 

 

そのサムスンにとって、更に嬉しいニュースが飛び込んできた。

 

10月10日までに、米政府が中国に対して行っている半導体製造装置輸出規制について、サムスン電子とSKハイニックスの中国工場は、これまで通り規制緩和の対象となることになったと韓国大統領府は公表した。

 

米国の規制の網を抜けられたことは何よりの安堵材料だっただろう。

 

 

そんなメモリー不況の中で、抜け出したサムスン電子とは異なり、危機に晒されているのが旧東芝メモリのキオクシアHDだ。

 

キオクシアHDと米ウエスタンデジタル(WD)が経営統合する方向性で最終調整の段階に入っていることが10月13日に分かった。

具体的には、WDの半導体メモリー事業を分離し、その分離された事業とキオクシアHDが経営統合する形だ。

だが、キオクシアへ間接出資しているSKハイニックスは反発しているらしく、これから説得が必要となりそうだ。

 

といったように、上昇気流に乗っていきそうなサムスン電子と、経営統合や早期退職者募集、新工場の稼働停止など危機に晒されているキオクシア。

この正反対の道を進みつつある世界のメモリー事業を担う2社の動向に要注目してきたい。