<TSMCの軌跡(Part3)>
〜遂に日本へ来たTSMC、懸念される熊本への影響〜
躍進してきたTSMCは向かう所敵なし状態になる。
そんなTSMCは、日本へ工場を建設することとなる。
それもこれも2021年12月20日に、半導体工場の新建設に補助金を投入する改正法が成立したことが要因だ。
<補助金について…>
①国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)へ設置される基金から複数年に渡って拠出
②2021年度の補正予算では6170億円を計上
・TSMC熊本工場:4760億円
・マイクロン広島工場:465億円
・キオクシア四日市&北上工場:929億円
このような中身のものとなっている。
さて、次はTSMCが日本の招致に同意したであろう理由をお伝えしていこうと思う。
(引用:日本経済新聞)
<TSMCが日本の招致に同意した理由>
○世界的に28nmのロジック半導体が不足していたため
この影響により、、主要先進各国で車が生産できなくなった。
そのとき、日本政府が誘致に乗り出したことでTSMCは工場建設に至った訳だ。
つまり、最先端の半導体工場ではないということである。
その後、28nmロジック半導体不足は解消となり、生産開始が2024年からの熊本工場は存在意義が問われている状態へ陥っている。
<もう一つの懸念点:地下水問題>
半導体は生産プロセスで大量の水を使用する。
TSMCが日本を選んだ一つの理由に水に関する問題が存在する。
そんな水に対して、特に熊本県は生活用水の8割が地下水で、TSMCの進出先でる菊陽町もその地下水地域に該当する。
TSMC工場では、1日1万2000立方mの地下水を使用見込みである。
これは、菊陽町で水道用に汲み上げられている下水1日分、年間438万立方mとほとんど同じ量である。
しかし、問題は地下水は無限に存在する訳ではないということだ。
地下水採取量は2008年の段階でその17年前(1991年)の75%に減少している。
工場などの建設で水田に利用される田んぼもどんどん減少していく中、本当に工場稼働と住民の地下水利用を両立させていけるのか?という点の懸念点は拭いきれないまま、工場は建設されている。
TSMCが日本へ来ることで「日本の半導体産業は安泰だ」や「これから日本の半導体産業は成長していく」などの目線もあるそうだが、日本では最先端プロセスの半導体製造は行わないことや住民生活にまで影響を及ぼしうる危険の考慮も個々人で理解しておく必要がありそうだ。