<TSMCの軌跡 【Part2】> 

〜「世界最大の半導体企業」と呼ばれるまでに躍進したワケ〜

 

 

 

 
 
 

 

 

現在、7nm以降の最先端半導体を90%以上製造しているのはTSMCであり、逆にいうとそれ以外のサムスン電子やSKハイニックス、インテルなどの大手企業は10%しか構成されていないということだ。

 

では、そんなTSMCが躍進した理由やきっかけは何なのか?

それは主に二つ存在すると考えられる。

 

 

SoC(System on a chip:ロジック半導体の中で、集積度が大きく1つのチップで1つのシステムを動作させる半導体)の受託生産プラットフォームを構築したことだ。

 

これにより、世界中のファブレス(自社で生産設備を持たず、外部の製造企業に100%生産委託しているメーカー)が設計を行いやすい世界標準の仕組みを構築した訳だ。

これはつまり、受託生産専門のTSMCがファブレスが機能する仕組みを構築し、自らのファウンドリー(顧客の設計データに基づいた受託生産を行う会社)としての地位を築いたということでもあった。

 

TSMCに生産委託するファブレスはEDAツール(世界標準の設計ツール)に搭載されたセルライブラリ(数百種の機能モジュール)から必要なセルを選択して、パズルのピースを並べるように設計すれば良い時代となった。

つまり、いつでも誰でも、セルライブラリにさえアクセスできれば同じ設計が可能になったのだ。

 

 

②アップルとの相乗効果
毎年、12月のクリスマス時期に突入する第4四半期に大きなピークを見せる企業がアップルだ。この時期をターゲットに定めてiPhoneなどを大量生産している。

毎年、TSMCの最先端ものはアップルのプロセッサ(処理装置)向けに独占され、ピークが過ぎた後に他のファブレスの先端品を製造している。

 

つまり、TSMCの微細化技術はアップルのクリスマス商戦に影響を受けているという訳だ。

 

 

 

これら上記二つの背景/理由からTSMCは大躍進することとなったと考えられている。