<TSMCの軌跡 【Part1】> 

〜創業者モリス・チャンの過去〜

 

 

 

 

 

 

TSMCを語る上で外すことができないのは、創業者であるモリス・チャンだ。

今回お伝えしていくTSMCの軌跡については3つのPartに分けている。

 

その初回は創業者モリス・チャンについての過去だ。

 

 

TSMC創業者 モリス・チャン

 

 

 

モリス・チャンは1931年に中国・浙江省で生まれた。

その後、中国共産党に追われる形で台湾へ行き、その後ハーバード大学へ入学することとなったため、アメリカへ渡る。

なお、2年次にマサチューセッツ工科大学(MIT)へ編入し、1952年に機械工学の博士号、翌年には修士号を取得した。

 

 

大学卒業後、大手電気メーカーであるシルバニア・エレクトリック・プロダクツ社に採用され、半導体部門の研究開発職に3年間勤務することとなる。

 

その後、テキサスインスツルメンツTI)へ転職し、半導体部門のグローバル事業を統括するグループの副社長に就任するまでに出世した。

 

 

テキサスインスツルメンツ社のロゴ

 

 

1985年、台湾の政治家:孫運璿(ソン・ウンセン)に招かれ、台湾へ戻って孫が設立へ奔走した工業技術研究院(ITRI)の董事長兼院長へ就任する。

そして満を持して、1987年にTSMCを創業する訳だが、その際にインテルへ出資を求めて断られたといった過去も存在する。

そんな過去からは想像できないほどTSMCは成長し、インテルは没落していくことになっていく…。

 

 

株価にも凋落の行く末が垣間見えるインテル

 

 

○インテル凋落のきっかけ

AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)が製造委託していた米GF(グローバルファウンドリーズ)との契約を違約金を支払ってまで破棄をし、2018年に委託先をTSMCへ切り替えたことだ。

GFは元々AMDの製造部門で、AMDが製造部門を切り離すことでファブレス企業の道を進んでいる。

 

そんなGFが技術開発にもたつく間に見切りをつけてTSMCと手を組んだという訳だ。

 

その結果…インテルに対抗するCPU開発に成功し、2021年1〜3月のCPU市場シェアにおいて、AMDがインテルを超え、PC用市場をこれまで独占してきたインテルの凋落が目に見える形で現れることになった…。

 

 

 

他社に影響を与えるまで大きな会社となったTSMCの躍進したワケを次回のPart2からお伝えしていくこととする。