樫尾ツヅル~She see 詩~ -3ページ目

someday in the rain

君の口下手のおかげで
僕は君に一つ残さず言う

寄り添った腕から感じる
愛しい35度のこと

確かなものなど無いけど
この体温で十分なこと

君は照れて腕をほどいて
二、三歩前に早歩き

車が来るから危ないと
呼び掛けようとして
怖くなったんだ

歩道からはみ出して歩く君を
引っ張って僕の傍に引き寄せた
もうきっと離れられない気がした
そうやって僕は君を引き寄せた

君の不注意のおかげで
僕は無くせないものを知る

薄く細い肩を抱いたら
予定通り君が笑うから

まるで種のない手品で
それを見て僕も笑うんだ

幸せが涙になりそう
ごまかして唇重ねた

自分だけずるい、とはにかんで
小さく首を振り
君は俯いた

キスしたら泣きだしてしまう君も
精一杯抱き締めてしまう僕も
もうきっと離れられない気がした
お互いに離れられない気がした


name

あの子の名前は
カクテルの底に沈んでる

車の名前は
エンジンの中で回ってる

ピストルの名前は
ロシア船の中で寝ている

季節の名前は
錆びついた線路で死んでる

yeah,yeah,name

涙の名前は
今じゃもう冷たくなってる

怒りの名前は
言葉よりもっと先にある

奇跡の名前は
人間に踏み付けられてる

世界の名前は
しばしばアメリカが変えてる

yeah,yeah,name



call my name

こんなんじゃ呼ばれねえ

簡単に暴れて、
明日から誰からも呼ばれなくなるね

だってそうだろ

呼ばれなきゃ呼ぶ気ねえ

呼ばなきゃ呼ばれねえ


明日から何にでもつながるよ

name



全ての名前は
幸福よりも溢れている

全ての名前は
災いよりもありふれてる

大きな名前は
ユダヤのひと達にあげても

最後の名前は
僕と君が生む子にあげよう

yeah,yeah,name



call my name

こんなんじゃ呼ばれねえ

簡単に暴れて、
明日から誰からも呼ばれなくなるね

だってそうだろ

呼ばれなきゃ呼ぶ気ねえ

呼ばなきゃ呼ばれねえ


明日から何にでもつながるよ

name

セシル

ルージュで昼を閉じ込めたまま
キッチュな夜を楽しめたから、
昼しか知らない学生たちが
呼吸も出来ないような気がして
セシルは少し心配になる
セシルはそんな優しい女

ルーズな昼を眠り倒した
カミュで夜を楽しめたけど、
頭痛でひどく憂欝になる
一種のセンチメンタルだから、
セシルは深くお祈りをする
セシルはそんな健気な女

セシルはそんなに素敵じゃないって事
不思議なくらいに、
いつでも忘れてしまうんだ

プールのついた白い新居の
リッチな夢を追い掛けていた
おニューの服で朝が来るまで
夢中の愛をあぐねて、
セシルは少し不機嫌になる
セシルはそんな素直な女

チープな町の暮らしが嫌で、
リュックにパパの財布を入れて
二十で家を飛び出したんだ
空虚な空を見上げた時に
セシルは少し思い出すんだ
セシルはそんな律儀な女

セシルは少しも素敵じゃないって事
不思議なくらいに、
いつでも忘れてしまうんだ