樫尾ツヅル~She see 詩~ -2ページ目

布団

お昼なのに全身で
あなたの肌を抱いたまま
色や匂いを感じたら
少し嬉しくなるだけさ

求めることを見出だして
手を叩いて喜ぶけど
いつかはきっと呆気なく
あなた自身に飽きるんだ

言葉よりも安心で
態度よりも簡単な
恋煩いを感じたら
背中こそばくなるだけさ

とんちんかんな相づちで
初恋だよと嘘ついた
意味のある嘘は疲れる
あなたはそれを重視する

掛け布団だけが知っている
二人の裸は美しい
熱に冒された気分です
あなたに僕は言うんです

永遠より一瞬でも長くいたいんだと
素直な言葉、辛うじて大人
もしも本日、黄昏に恋が滅んだって
それまでの午後を僕と過ごそうよ
お布団の中で

お手付きして健全な
お付き合いじゃなくしたまま
色や匂いに飽きたなら
少し寂しくなるだけさ

回り道して曖昧な
思い出ばかり増えるから
親や周りに聞かれたら
たちまち辛くなるだけさ

ぼろ枕だけが知っている
二人の頭の向き違え
熱が解けた後いち早く
あなたは僕に言うんです

一瞬より一瞬でも早く離れたいと
素直な言葉、辛うじて大人
たとえ身体と裏腹に恋が滅んだって
いま少しだけは、僕と過ごそうよ
永遠より一瞬でも長くいたいんだと
素直な言葉、辛うじて大人
もしも本日、黄昏に恋が滅んだって
それまでの午後を僕と過ごそうよ
お布団の中で

砂の城

臨海の町の夏
軍の基地が近いから
青すぎる空に
ジェット機の轟音
墜ちないで

沿道を去っていく
新妻の押す乳母車
日除けの下には
赤子は乗らない
堕ちたから

痩せすぎた野良犬を笑う
女学生らの下校
あどけないあの娘は
たぶんサラ品
堕ちないで

ミニバイクと十五の夏を
壊した交差点
供えられた花束だけが
尊い
朽ちないで

この町の午後の風景にアイムアローン
過ぎ去るというよりか
溶け去るような一瞬を
一枚ずつ繋いでこしらえたんだ
感傷を
この痛みこそが儚い砂の城

盗まないと
手に入れられないものが多いから
働かずにワル繰り返す
チャイニーズ
泣きながら

飛び降りて
赤い花咲かせた十七の少女
ウエディングドレスの
形を決めた
落ちながら

霞むほどに遠くで広がる
穏やかな平和
この街角からは
まるで蜃気楼
消えないで

臨海の町の夏
軍の基地が近いから
青すぎる空に
ジェット機の轟音
墜ちないで

この町の午後の風景にアイムアローン
過ぎ去るというよりか
溶け去るような一瞬を
一枚ずつ繋いでこしらえたんだ
感傷を
この痛みこそが儚い砂の城



Air

潮騒が胸の中
小さな場所を作ってくれた午後
ほこりだらけの夏休みの
日々をしまいこむ

意地悪な言葉さえ
果実のように食べてしまえたのに
砂の城を見る目で君は
僕に微笑んだ

波際のずっと尽きない
かわいい泡たちに
人魚の恋を夢みてた?

忘れないからそのまま
渚で溶けていけ、僕の恋人
寂しくなれば
またここで夢をみよう


お馴染みの路地裏が
生まれたての景色に見えた時
お隣りを歩くヒトがもう
君と違ってた

空は晴れ、海は凪
笑い飛ばせない人違いをしても
うなされること恐れないで
ずっと探してる

曖昧な風に乗れない
幼い鳥たちを
他人事のように思えない

忘れないから
思い出す事も無いままさ、僕の恋人
鮮やかな裸足の季節の
夢をみよう


忘れないからそのまま
渚で溶けていけ、僕の恋人
寂しくなれば
またここで夢をみるから
その時は笑い合えないか、僕の恋人
鮮やかな裸足の季節の
夢をみよう