グツグツと
赤く煮立ったボルシチ

カレーじゃないんだ

彼女は全く以て夫のこの行動する意図が理解できなかった

もしやすると既に悪意を感じつつある自分と認めつつあったのかもしれない


夫のことは好きだ

ううん愛してる


夫婦生活のあった次の日の朝にニッコリと微笑みながらこう言うの

『機嫌いいねぇ~~♪ちょっとケツ撫でたらこれだ』

好き


「今日の夕飯は何が食べたい?」
彼女が聞くときまって夫はこう言うの

『ゴージャス弁当大盛りで!』
カレーじゃないんだ
嫌い

そしてウザい


いくら愛しているからといって
人間同士だもの
男と女
嫌いなところはある
いくらスカイツリーとタワーのようないい関係を築いていても
そんなエピソードを思い出したところで目の前の赤いボルシチだ
カレーじゃないんだ

彼女は、夫の大好きなロリ巨乳からは想像すら出来ないような鬼奴の形相でその昔の男前風な両の細い目を睨んだ!


『わぁ。、恐いな』
夫はそう言って更にコトバをこう続けた

『君が怒る理由はよく分かるよ。だけど僕には君に怒られる理由がないんだ。』

「そういうのを!矛盾っていうのよ!!」


『そう!矛盾だ!!』

「分かっているのに何故・・・」


『そう。この矛盾が生じたのだって決して僕一人だけのせいじゃあないんだぜ!!』


「えっ!?それってもしかしてあたしが原因だって言うわけぇ?」


『ヒントをあげよう』
『去年一緒に整理した写真のアルバムをよぉく調べてごらん』


彼女は一連のやりとりに少し不満を覚えながらも夫の言う通りにアルバムを一冊ずつ手に取って調べていった


一冊め・・・特になし
二冊め、三冊め、、、

「ねぇ、もう全部見終わっちゃうよ!ホントにこの中に何か見つか・・ あ!」


『ねぇ分かった?もう分かったよね!ね!』


「・・・うん・・・分かった」


『じゃあ、明日、僕と一緒に鹿児島に飛んでくれるよね!ね!ね!』

「仕方ない」
彼女は本当に仕方なさそうにそうつぶやいた


『ようし!そうと決まれば善は急げだ!チケット取るわ』
『本場のさつま揚げはきっと美味しいぞぉ~~♪』


「カレーじゃないんだ」
やはり彼女はそうつぶやいて、冷えかけたボルシチを慌ててかきこんだ




つづく