『楽天のピッチャー川岸に代わりまして岩隈 背番号21』
楽天の投手交代のアナウンスに札幌ドームはどよめいた。
2死とはいえランナー1塁、2塁。更に打席には第1戦で
逆転サヨナラ満塁ホームランを打ったスレッジの場面だ。
8回の裏6-4で日本ハムが勝っていた。
ここでスレッジに打たれる事はそのまま終戦を意味する。
前日の第3戦で田中が完投勝利を上げており、試合前のムードは
良かった。
しかし1、2回とスレッジの犠飛や森本の2ランなどで3回を終わって
3-0とされた。
4回の表ここまで劣勢だった楽天が反撃を開始する。
セギノール、宮出のタイムリーで3点をあげ、1点差に迫った。
そして試合は1点差のまま終盤に突入した。
7回の裏に日本ハムはスレッジ、鶴岡のタイムリーで2点をあげ
突き放しにかかった。
楽天はピッチャーを小刻みに代えながら日本ハムの攻撃を何とかしのいでいた。
そして8回の表にセギノールのタイムリーで2点差に詰め寄った。
8回裏のピンチに野村監督は岩隈と目が合った。
岩隈の目が『行かせて下さい』と訴えていた。
野村監督はうなずき投手交代を告げた。
通常はありえない中1日でのエースのリリーフ。
岩隈はゆっくりとマウンドに向かった。
3月にWBCで松坂やダルビッシュと共に戦い金メダルを獲得した。
その疲れからか、体のキレを欠き前半戦は低迷した。
後半戦に入って何とか調子を取り戻し、田中、永井と共に2桁勝利をあげた。
しかし13勝をあげたとはいえ体はすでにボロボロだった。
そのため第2戦では完投はしたものの負け投手になっている。
岩隈は気力だけで押さえようと思っていた。
この日負ければ野村監督の楽天の監督としての最後の試合になるのだ。
1試合でも長く野村監督と試合をし、更に仙台で日本シリーズをするためにも
負けるわけにはいかなかった。
そしてスレッジに投じた第1球。
スレッジが振りぬいた打球は日本ハムファンの歓声、楽天ファンの悲鳴と共に
スダンドに消えた。
決定的な3ランホームラン。
がっくりとうなだれる岩隈。
岩隈には気力でどうにかなるほどの力も残っていなかったのだ。
WBC、ペナントレース、クライマックスシリーズと続いた岩隈の2009年が終わった。
結局試合はそのまま終わり、楽天は日本シリーズ進出を逃した。
しかし野村監督の下、全員で勝ち取った2位は誇れる事だろう。
来年は野村監督が去った後ブラウン新監督の下、今年の2位以上
すなわち優勝を目指し、また戦いが始まるのだ。
仙台クリネックススタジアム宮城にチャンピオンフラッグをはためかせるまで
金色の鷲はさらなる高みを目指す事だろう。
終わり