夕食のあと、部屋でボーとテレビを見ていたケイコは窓の外に

何かがいるのを感じた。

何だろう・・・ここは2階だから人って事はないよね。

それはレースのカーテン越しにゆらゆら動いているのが分かる。

スズメかハトだろうか。

ケイコはそっとカーテンの隙間からそれを見てみた。


「ウキャウ」

人間驚くと変な声が出るものである。

それはコウモリだった。

田舎ではたまに見かけたが東京に出て来てからは見た事がない。

何でこんな都会にコウモリが?

ケイコが見ているとコウモリはパタパタと羽ばたいてどこかに飛び去った。

わたしの顔を見ていたような気がしたけど気のせいかな・・・

ケイコはテレビに視線を戻した。


テレビを見たと同時に玄関のドアがノックされた。

今頃誰だろう、ケイコは時計を見た。

もう8時過ぎだ。

「どなたですか」

「・・・・・」

ドアの向こうで何かを言ったらしいが聞き取れなかった。

新聞屋さんかな?

ケイコは新聞の勧誘に辟易していた。

「新聞なら間に合ってますよ」

「・・・・・・」

また何か言ったようだ。

日本語ではないような気がする。

外人さんの新聞屋さん?

また無謀な、どうやって勧誘するのだろう。


「アケテクダサイ」

ケイコはびくっとなった。

正解だったようだ。

「新聞なら間に合ってますよ」

「シンブン、チガウ」

「じゃあ何かのセールスですか?何も買いませんよ?」

「セールス、チガウ」

新聞屋でもセールスでもない?

宗教の勧誘かしら?

「わたしは神様を信じてませんよ?」

ドアの向こうで嬉しそうな声がした。

「カミサマ、シンジテナイ、イイコト」

へっ?

この人は何を言っているのだろう?

わたしはドアの向こうにいる外人さんに興味を持った。

「何の用ですか?」

「ワタシ、 アナタノコトスキニナッタ」


何ですって?

わたしの事を好きになったって?

この人は何を言っているのだろう・・・でも嬉しい。

「アケテクダサイ」

ケイコは悩んだ。

どうしよう・・・悩むべき事ではない。

突然現れた変な外人から愛の告白をされたのだ。

どんな奴か見るべきだろう。


ケイコは護身用にベッドの脇においてある木刀を持って来た。

剣道初段の腕前なのである。

何かあったら、これを脳天にお見舞いしてやる。

物騒な事を考えるケイコだった。

ケイコはドアにチェーンが掛かっているのを確認し、後ろ手で木刀を

握り締め、恐る恐るドアを開けた。



つづく