Ranpant Crassicという名のメーカーが、かつてありました。
今は亡き表参道の同潤会アパートの一角ににオフィスを構え、シブいイメージとともに発足したメーカーです。

Colt SAA 1機種のみに絞ったバリエーション展開でした。
1)ハンマーロックライトや+R 高比重(恐らく硬質ベークライトや高比重タングステン+亜鉛入りHW)樹脂材
2)メタルロックライト 亜鉛合金製ダイキャストモデル 金メッキ数種類、後に金色塗装モデルも。
3)HW キット(バレルウェイトモデルとウェイト無モデル)
等を米国コルト社の商標を取得して展開しておりました。
ランパント社の歴史や商品展開の詳細はコレクターの方に譲りますが、設計や監修に六研の六人部氏が参画し「六研の技術が活きてます」というキャッチコピーがウリだったかと思います。

入念な実銃の年代特定とモデルアップ、米国での実寸採取から金型製作の原型となるマスターモデル(プロトタイプ)作成、もしくはCAD-CAMによるプロトタイプレスの金型作成を行ってのリリースかと思います。如何に初期ロットが高級品だったか、その後品質問題を孕んでしまったかについては、たくさんの記事がweb上にUPされているので、そちらを参照願います。
高級志向のロックライトやメタル製の記事はあまたある他のブログに譲るとして、ウチのブログの特色であるキット組み立てとアクションを中心にお伝えします。

今回の紹介は、3)のHWキット(製品名としてはHalf Scratch Kit)その中でもバレルウェイトモデルを紹介します。
このモデルはバレル内に水平インサートを挟む形で上下にウェイトが入っていて、重量バランスを実銃に合わせているのだとか。
↑いにしえのコロナバレルみたいです♪
バレル半分をウェイトで塞いだ六研やWAの設計思想に似ています←どちらもテンプラでABSクラックに悩まされていましたが。

かつての愛機、HWS社SAA(上)CMC製ABS樹脂グリップ付き
もう1丁、WA社SAA(下)のTG&BSは定番のCMC金属製に換装+グリップはHWSからの再販1stロットの樹脂グリップ
話をランパン社製キットに戻します
もう一方のキットモデルは一枚の横向きインサートで発火時にガスの抜けが良くバル―ン競技用向きです。こちらはHWS社の構造と同じです。タナカのABSモデルも同様のバレル構造でした。

グリップ裏面も実銃同様の無垢で、他社モデルガンの様な補強リブはありません。拘りのハンマ-ノーズ…このスプリング機構がランパント社のウリでした。キットのシリンダーストップは他社同様鉄板の3枚重ねをスポット溶接で完成品でのスチール一体加工品からコストダウン。ハンマー/トリガー/シリンダーハンド/TG/BSは亜鉛合金の黒染め品。トリガーSPは板バネタイプ。

フレーム底面のTGとの合わせ部には、自社の刻印がさりげなく彫刻され、ブランドイメージを強調してくれます。
六研は一部の熱狂的なモデルガンマニアには憧れのブランドでした…ワタシはそうでもありませんでしたが。
カート内発火式の45ロングコルトはガス抜け穴が小さく肉厚の真鍮製、キャップを押し出すプライマー部はステンレス製です。
発火性能と重量を稼ぐ一石二鳥です。

このモデルの何が白眉かって、フレームとTGの幅がドンピシャなトコロです。刻印がもう少し深ければ、ペーパーでガリガリ平面出しを行っているところです~。

高級モデルをリーズナブルにキットで、チューニングを行う方には自由度の高いキットモデルで…ということだと思います。
恐らく経済的な富裕層向けに高級モデルが回りきった後の企画で、その下層向けにワタシのようなコスパ重視、ガンガン作動&アクション派向けということなのでしょう。
しかしポン組みで何も調整せずとも、アクションはカチッと決まって申し分ありません。ハーフコック時のシリンダラチェットはカッチリしていますしフルコック時の戻り(遊び)も少なくドローが楽しくなります。
すでに交換部品は望めないので激しいドローやスピンは行っていませんが、亜鉛ダイキャストパーツとはいえ、トリガー、ハンマー、シリンダーストップの寸法関係もバッチリです。
同潤会アパート廃止に伴い厚木市に移転した会社を清算してからかなりの年月が経つので、その名も歴史の中に消えてゆくのでしょう。経営者の道楽で始めたが本業が忙しくなって製造や品質管理に目が届かなくなったともいわれています。
ランパントSAAは外観や再現度のレポートが多く作動面の記事が少ないですが、アクション面でも間違いなく一級品の再現度を誇る製品であった事をお伝えしておきます~。
