『広島』
広島県出身の矢沢永吉であるが、故郷への思いが語られることはあまりない。
高校を卒業して上京をする際、卒業証書を破り捨てたというエピソードからして、広島には愛憎半ばするものがあるようだ。
昭和24年生まれの矢沢は、身内三人を原爆で亡くしている。
矢沢の父が以前結婚していた女性と、義理の姉と兄である。
父親がのちに結婚した後妻との間に矢沢が産まれる。
幼い頃から父親は酒びたりで、愛想を尽かした母親は出奔してしまう。
それ以降、矢沢は祖母の手によって育てられる。
酒のせいか、被爆のせいかはわからないが、荒んだ生活の中で父は体調を崩し、矢沢が小学2年の時に他界している。
そこからは、祖母と2人だけの暮らしを続けた。
親戚たちは一様に2人に冷たく、矢沢は孤独を味わった。
狭い世界の中で周囲の視線に晒される、『長屋の孤独』は2度と味わいたくないという。
むしろ、ビックになって『大邸宅の孤独』を選びたいと彼はいう。
これはビッグになった現在までくすぶり続ける感情なのかもしれない。
広島を愛そう… ![]()