これまで「路上駐車をする理由」や「エンジンを切らない理由」など、世間が知らない「トラックドライバーの迷惑行為の裏にある事情」をいくつか説明してきたが、その迷惑行為の中に、裏も表もない「ただの迷惑行為」がある。

「ポイ捨て」だ。

コロナ禍の中、トラックドライバーたちには過去にないほど「感謝」や「激励」の声が送られるようになった。その声を励みにして、日々ハンドルを握るドライバーも少なくない。

しかし、このトラックドライバーによるポイ捨ては、そんな世間からの温かい声をものの見事にゼロにする「業界の悪因子」となっており、「物流支えてくれているのは分かるが、ポイ捨てするから心の底から感謝できない」「結局トラックドライバーは底辺職」とまで言われる原因にもなっている。

大前提に、ポイ捨てをするのはトラックドライバーだけではない。

明け方の繁華街には酒缶やたばこの吸い殻が散乱しているし、一般ドライバーにも、自転車乗りにも、歩行者にも道路にポイ捨てする人は一定数存在する。

しかし、流通業務地区の高架下に大量に捨てられている弁当容器や、高い座席位置からでないと絶対に届かないような場所に、まるでオブジェのように捨て置かれている缶やペットボトルは、トラックドライバーの所業と考えてほぼ間違いない。

そこで本稿では、「トラックドライバーによるポイ捨てが生じる要因」を、自身の経験と現役ドライバーたちの話をもとに考察したい。