自殺願望の女性との対話3 | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

帰ってきたお宮様は、女性にダルクを紹介した。

「現実的に必要なものはこれだと思います」

ダルク(DARC)とは、覚醒剤やシンナーなどの有機溶剤、市販薬、その他の薬物依存症から開放されるための自助グループで、スタッフは元薬物依存の経験がある人たちだ。だから、現在苦しんでいる患者の心情や置かれている状況がよくわかる。

ダルクには、中毒から解放されるためのプログラムがあり、全国各地に施設が点在している。民間で運営されているリハビリ施設である。

「わたしに今、出来ることはこれだけです。不審の点があれば、あなた御自身で調べてください。わたしはなんら恐れません。お分かりいただきたいのは、わたしはあなたを愛し、いつも気にかけているということです。ある段階における肉体と精神の病気には、愛はもちろん必要ですが、それだけでは治せないものがあるのです。その場合は現実的な治療を行うべきです」

女性は、受話器の向こうで小さく返事をした。

「苦しくなったら、わたしを思ってください。目には見えなくとも、世界のどこにいようとも、わたしは必ずあなたの所へ参ります。そして、あなたの傍らで、あなたの勇気と優しい心を支えます。前途を心配なさらずに、光に向かって歩みを進めてください」

お宮様は、そう女性を諭した。