連続アメブロ演義「まとひ」 世も末 | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

地震、大火、疫病、飢餓、貧富の格差、腐敗、重税・・・・・・。世の中が混沌とし、先の見えない闇に包まれているようだった。人々は弱肉強食に走り、自分や周囲の親しい者以外はどうなろうとお構いなしに、恥を知らぬ有り様であった。あるいは宗教に助けを求め、熱心な礼拝を繰り返し、奇跡やお恵みを願った。そのような中、もうすぐこの世の終りが来るという話が、あちらこちらで噂されるようになった。

「先生、この世の終りが来るというのは本当でしょうか」

「何をもって終わりと呼ぶかでしょう。たとえ地球がなくなったとしても宇宙は存在し続けます。地球より何百倍も大きな惑星が滅んでいるのに宇宙は存在しています。それは現在の科学によっても今や認められています。そして、惑星がなくなってもエネルギーは異なる形で残ります」

「私たちの生活という面です」

「われわれは歴史から学ばねばなりません。社会不安が起きるたびに『この世の終わり』『末法の世』『神は死んだ』などという噂が広がります。そして宗教の名を借りたお金儲けが始まります。何千年も人類はそれを繰り返しています。ですが、世界は滅んだでしょうか。人類は滅亡したでしょうか。

そんなことはないのです。ですから、そんな噂に振り回されず、日々の生活を懸命に生きればよろしい。あなたの最善を尽くせばよいのです」