ある秋口の午後、私は先生のお部屋を勝手に掃除していた。机の後から古い書付けを見つけた私は何気なくそれを開いてみたのだった。
「授業について
一、成功と失敗の経験、リカバリーの仕方と達成感を体験するように。一生かけられる仕事を見つけ出し、熱中し、誠実に生きていけるように学ぶ手助けをする。『お金より経験を。魚より釣竿を』
二、授業は子供たちの身体と心と精神に大きな力を与えるものにしよう。
三、授業はいつも『美』『真理・本質』『驚き』『歓び』に満たそう。授業そのものが芸術、先生は芸術家であれ。
四、心の底から楽しい、素晴らしいと思う授業。
五、平和を守るんだ、公正さを守るんだと感じ取る授業。
六、子供たちの心を奮い立たせる授業。
七、心の奥底にある琴線に触れる授業=表面的興味を引くために、面白おかしくする必要は無い。」
それは先生の筆によるものだった。私はハッとして、思わず書付けをたもとにしまいこんだ。