連続アメブロ演義「まとひ」 大建の話 | 連続アメブロ演義 まとひ

連続アメブロ演義 まとひ

剣龍之介のいま、つたえたい話

益州の牧(現代でいう州知事のこと)の大建が先生を訪ねた。かねて、治安を安定させるに長じた者と評判があった。
大建が言った。

「我々は何が悪であるか、以前より分かるようになって参りました。悪の行き過ぎがあれば、善の心の必要性、
改善の必要性が見つけられるでしょう」

先生はただ、然り、とだけおっしゃった。

「人々の精神が知性ほどに発展を遂げた暁には、悪が消滅し、この世に理想の国々が現れましょう」

大建は権門に追従しなかったので、中央で出世はしなかったが、地方を良く治め、彼が死ぬと領民はみな泣いた。
南の大理国までも弔意を表すほどだった。

後に、先生は大建を懐かしむ事が度々あった。