ある日、子粛が先生に質問した。
「先生、悪とは何でしょうか」
村では三日前、殺人があって、犯人が捕まったことで一騒ぎ起こったところだった。
「悪とは未発達、無明の状態にあることです」
「世には、恥を恥とも思わず、罪を罪とも思わず、悪事を行い、これを楽しんでいる輩がおります」
「彼らは気付いていないのです。ですが、いつか必ず気付く時が来ます。いや、気付いている者も実は
居るのです。それを強がりと無視で無かったことにしようとしているのです。貴方は、悲しんであげなさい。
哀れんであげなさい。彼らはこれから気付くのです。そして、悪事に見合った償いを致します。
誰も逃れる事はで来ません。私は決して気休めで言っているのではありません。永い目で物事は
見なければなりません」