連続アメブロ演義「まとひ」 苦について | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

彼らは山にこもって、いばらの鞭で体を叩き続けていた。



街は地震によって完全に破壊され、先生は瓦礫から人々を助け出すことに懸命であった。



李阮がつぶれた家の柱をどかしながら、尋ねた。



「自らを鞭打つことで、他の苦しみを肩代わりできるものでしょうか」



先生は手を止めることなく、こう答えた。



「難行苦行とは、世のため人のために、自らに耐乏と労働を課することです。どんな禁欲生活、苦行にもまして、他人のために善い事をするのは価値あることです。自分の目的のために自分が作った苦しみは、他人の役に立っていない限り、無意味です。自ら苦しみを作る者は単なる利己主義です」



王完が、生存者を見つけたので私達はそちらへ走った。先生は真っ先に駆けて行かれた。