先生がお怒りになられたのは、その時だった。
橋を掛けるため、少女を人柱にするとある村で聞いたのだった。
「工事の安全と少女の命と何の関係があるのですか。宇宙はいかなる犠牲も欲しません。
動機と行動、これこそが全てです。あなたが工事の安全を願う動機は正しいと思います。
ですが、人柱を立てようとするその行動は絶対に間違っています」
先生は丸太を担ぎ、濠を掘った。治水を学んだ鄧歆と馬累が先生の志を継いで橋を無事完成させた。
今でもこの橋を見ると、先生のあの御姿と御言葉が思い出されてならない。