昔、お台場のヴィーナスポートに遊びに行ったとき、海を見ながら肩を寄せ合うカップルがあまりにも多く、それで埋め尽くされていたのを覚えている。

大人になって京都旅行をしたときに鴨川沿いを探索し、そこでもカップルをたくさん見たが、それでもお台場のなんというか生々しさというかギラギラっぷりは異質だった。


"ヴィーナスポートに女の子を連れていけば100%彼女にできる"

そう勝手に勝ち確方程式ができたほど、あそこはエグかった。


その跡地にできたイマーシブフォート東京が、今年の春にシレッと閉館してしまった。


あのUSJの復活を請け負った刀グループによる鳴り物入りの施設として当時話題になった。

演劇一体のアミューズメントパークは、来館者全員が物語の登場人物となる黄金体験を得れることが何よりのセールスポイントだったように思える。


しかしながらこけら落とし数年後には客足の低下が騒がれるようになり、刀グループ自体の各案件のプロデュース不調売上不調も相まって、閉館は時間の問題では?と囁かれるようになってからなんとか踏ん張り続けようとしていた印象であったが…やはり持たなかったというところか。



私自身は当施設を利用したことがある。


推しの子や今際の国のアリスとコラボしていた時期で楽しい部分は多々あった。

映像でB小町が登場してアイドルを歌いあげるのはもはや生ライブパフォーマンスに近かったし、ゾンビパンデミックが発生したエリアでDJゾンビやMCゾンビが起こしたイベントはフロア全体がダンスホールだった。

また、シャーロックホームズ期のロンドンのホワイトチャペルにてジャックザリッパーから逃げ回るお化け屋敷のようなアトラクションは、過去の経験からでも5本の指に入るくらい怖く面白いものだった。





だが…それを補って余りある…共感性羞恥。




演劇の中に勝手に放り込まれるので、ボーっとしていると突然イベントに巻き込まれてしまう。


たとえば先述のDJゾンビのくだりが始まる前、壁にもたれながらボーっとフロア中央を眺めていると、
「なあ、あそこにいるのが市長だ。どうやら現場を視察してるみてえだ」

と話しかけられる。


「ああ…そのようだな」となんとなく演劇っぽい返事をしてしまった自分がまたキツイ。


町がゾンビで溢れかえってくると、勝手に道が通行止めされるし、『○○を見てませんか!?』と泣きつかれたり、「あんたは利口だ。いまは動かないほうかいい」と突然ニヒルに話しかけられたりして休む暇もない。

何もない時間もそこら中にいるゾンビが容赦なく脅かしてくる。


唯一世界観を共有していなかった今際の国のアリスコラボフロアの前を通ろうとすると、たくさんの足音とともにあまりにも大量の、200人くらいいるんじゃないか、首に爆発する首輪をつけた人たちが怒涛の如く出てきた。


誰か令和に新しい黙示録でも書いたのか。



よくよく考えてみれば、私は脱出ゲームすら共感性羞恥がわくタイプだ。


土台無理だ。演劇なんて。



この施設の跡には何が建つのだろうか。



ちなみにイマーシブフォートも一緒に行った女の子とだいぶ仲良くなれた。


この地域の成就率は、いまだに高い。