嘘つき姫と盲目王子をクリアした。

"救いのないゲーム"を多く輩出する日本一ソフトウェア社に於いて、ここまで何度も繰り返しプレイしたい作品があっただろうか。

とある事情により失ってしまった王子の視力を取り戻すため、狼が人間の姿と獣の姿を切り替えながら手を引き、最も大切な物と引き換えにひとつだけ願いを叶えてくれる魔女の下へと向かうために暗く危険な森を冒険する物語である。

察しの良い方はお気付きかもしれないが、狼が人間の姿と自由に切り替わる能力こそ魔女との取引によるもなのなのである。

彼女の代償は歌声であり、これだけ聞けば名作リトルマーメイドを思い浮かべる人も多いのではなかろうか。

だが向こうは人間界に憧れる人魚であるのに対し、本作は人間を時には捕食する獰猛で利己的な狼だ。

しかも前述の通り、狼は既に一度魔女の下へ辿り着き、取引を行っている。

つまりこの冒険は、狼のままならば難なく辿り着くことができた魔女の下へ、もう一度今度は視力のない王子の手を引き、王子に自分が獣であるとバレないように人間の姿となり、そして人間と獣という決して相容れない価値観の相違を持つという大きなハンデキャップを持ちながら挑む、二度目の冒険なのだ。

このハンデキャップ自体が絶妙にゲームのバランスに影響し、短いながらもやりごたえのあるゲームプレイが実現し、ストーリーに重厚感を与えている。


だが私がこのゲームの醍醐味と感じたのは、苦労して辿り着いたエンディング後に流れる、志方あきこの「月夜の音楽会」という曲だ。

2023年スタジオジブリで大きな話題を呼んだ「君たちはどう生きるのか」をエンディングで全てを補完し新たな魅力を追加するような曲が米津玄師の「地球儀」であるならば、本作は紛れもなく「月夜の音楽会」がその役割を担っている。

かくいう私もこの投稿の最中も、月夜の音楽会を聴きたいがためだけだけに本作3周目の冒険へと突入している。


とにかくこの曲を聴くためだけでもプレイする価値がある。いや、この曲を100%の状態で聴くために、皆さんにもこのゲームをプレイしてほしい。


ところで人狼と言われると、私は真っ先にハリーポッターのリーマスルーピンを思い浮かべる。

高校生くらいから大学生の間まで周囲で猛烈に巻き起こったハリーポッターブームの中で、私はそれにハマるわけでも原作を読んだこともなかったが、たまたま付き合いで映画館で観たアズカバンの囚人の冒頭で、列車の中でフードをめくり杖を高くあげるリーマスの姿に一目惚れしてしまった。

リーマスの為にハリーポッターにハマろうかと考えるほどだったが、同じ大学の本田耕大が「でもリーマス死ぬよ」とネタバレしたことでその未来は一切なくなった。


本田耕大は元気だろうか。

彼は私の家に遊びに来たこともあった。

たまにSNSでオシャレな背景でオシャレな帽子を被ってオシャレなジャケットを着てオシャレなポーズを決める本田耕大の画像を見る。


顔、長いな。と思った。


同時に、鼻の穴、めっちゃデカいな。とも思った。