毎朝出勤時、それなりに高そうな車で一方通行の道を逆走し、自動販売機前で路駐をし、缶コーヒーを買う高齢者を見る。

これは非常に危険な行為だ。

彼は缶コーヒーを飲み終えると自販機横のゴミ箱に空き缶を放り、そのまま逆走して大通りへと出ていく。

交通ルールを守らずに、誰からも注意されず、年齢と共にくる衰えも気にせず、危険走行を繰り返す。


おそらく上級国民だろう。いますぐにでも彼を処分すべきだ。

だが考えてみれば、私の父親も母親も、高齢者でありながら運転免許を返納していない。


もしも彼らが返納を選択したら、いったい交通手段はどうなってしまうのだろうか。

車の引き取りに関しては、私は私で運転免許を持っているが一切運転はしない…もといできない。

そうなるとあの車は、必然的に売りに出されることになる。


幼稚園の頃、短冊に【早く大人になりたい】と書いて、先生に『どうして?』と問われたのを覚えている。

たしか「大人になれば車も運転できるし、色んなことができるようになる」と答えた気がする。


この記憶が正ならば、あの頃の自分に私は告げなくてはならない。


車は運転なんかしないし、色んなことができるけどもその倍くらい色んなことができなくなる、と。


可能性が多岐に渡るのは子供の頃だけだ。

加えて私は、中学生以降極度に何かに挑んだり、表に立つことを避けるようになった為、選択肢はその反動で年々狭まってしまっている。