スーパー銭湯がとても好きだったが、別にサウナが好きなわけでもないし、最近の都内ではどこにいってもどの時間帯でも人でいっぱいである。

昼間は老人だらけだし、夕方は学生がたくさんいるし、夜はサラリーマンで溢れる。


数年前にわけのわからん爺さんが水風呂の水でうがいをしていたのを見て、また、憩いの場所であったお気に入りのスーパー銭湯のリラックスエリアで大学生カップルがSEXしているのを見た。

以来スーパー銭湯を利用することに抵抗ができてしまった。



そこでなぜスーパー銭湯が好きなのか考えてみたのだが、それはゆっくりお湯に浸かれて、充実した設備の中で、誰にも邪魔されずリラックスしたいからだと結論が出た。


それならラブホテルでよくないか?



ということで、すっかり1人ラブホが趣味になった。


サービスタイム利用ならば4000円程度。


スーパー銭湯でもビールを飲んだり食事をすると5000円近くいくこともあるので、コストも大差がない。

何より1人っきりでゆっくりと、充実した各設備を独占できるのはあまりにも快楽的だ。


この日はまず風呂につかり、バスローブに着替え、一度アダルトチャンネルで抜き、持ち込んだ昼ごはんを食べ、吉住の単独ライブを観て、もう一番アダルトチャンネルで抜き、仮眠をし、風呂に入った。


国内線の飛行機内とラブホテルで観るお笑い芸人の単独ライブは格別だ。

何にも変えがたい面白さがある。


19時まで存分に楽しみ、帰り支度をしてフロントにいくと、何やら中年男性と若い女性がイチャイチャと会計をしていた。

中年男性がどうやら会計用の小銭を細く出しているようで、私に気づいた女性が彼に『ねえ、後ろ並んじゃってるよ笑』と伝えていた。

男性は私を一瞥し、女性へと向き直して「いま頑張って小銭探してるから急かさないで」と言い、再びイチャイチャしだした。


初めはデリヘル嬢と利用客かと思ったが、あまりにもイチャイチャしているので普通のカップルなのではないだろうか。

ようやく会計を終えると、中年男性は私に「すみませんねえ」と小声で謝ってきたので、私は軽く会釈をした。

扉の開き際、その中年男性がおそらく私のことを指して「デリヘルかな?」と女性に言っているのがきこえた。


たしかに男1人で会計を行う姿は普通に考えればデリヘル利用客だが、自分が若くて可愛い女を連れているからって、後ろ指で私をさして「デリヘルかな?」と見下すのは、あまりにも裕福側すぎるだろと少し腹が立った。


彼らの歳の差を考えるとデリヘルではないにしても、不倫の可能性が高い。


で、あるならば後を尾けて、家を特定し、男性のほうには金銭を、女性のほうには肉体を要求しよう。


すぐに私は会計を済ませ、彼らの後を尾行した。


すると彼らは2分程度歩いた先の駐車場へつくと、女性が男性に『今日ありがとうー!またねー!』と手を振った。

男性のほうは無言であるものの笑顔で彼女に手を振りかえし、駅方面へとまた歩いていく。

彼女は男性の背中にむかいしばらく手を振り続けた後、真顔に戻り、近くに止めてあった車の後部座席に乗り込んだ。




いや、デリヘルやないか。

あんたもデリヘルやないか。




あれだけイチャイチャしていたのにデリヘルなのか。

サービスが良すぎる。


で、あるならば私も彼女のサービスを利用したいので、すぐにでも声を掛けて、「お店はどこですか?」と尋ねようと考えた。


だが幸か不幸か、私にはそこまでする度胸はなかった。


そもそもデリヘルを利用してしまったら、ラブホ利用とスーパー銭湯利用のコストバランスの均衡が破られてしまうので、これはこれでよかったと思う。