1ヶ月前に予約した健康診断に、予定していた時間に向かってみると、受付から『もう1時間前に予約の時間が過ぎてますよ』と言われてしまった。


その時にとったメモを見直しても、やはりこの時間が記されているのだが、どうやら私は自動音声で案内された時間を聞き間違えてしまったようだ。


「本当に申し訳ありません。多分時間を間違えました」と謝罪すると、

『別の日にしますか?それとも午後イチに変更しますか?』
問われた。


気持ちは完全に別日だったが、検尿も検便も済ませてしまっていたこともあり、それを今日提出するのは嫌だったので午後イチを選んだ。


『ただし午後は女性限定なんです。なので14時30分受付開始ですが、女性の前に終わらるため14時開始にします。なので必ず13時50分にはきてください』


受付に半ギレされながらもう一度謝罪して、会場を後にし、近くのカフェによって時間を潰そうかと思ったが、冷静になると健康診断前なので飲み物も食べ物も口にすることができないと思い、会社に戻って仕事をして時間の経過をもった。


13時40分、空腹の限界を超えた状態でヘロヘロになりながら再び会場につくと、既に中年女性が数人受付待ちで列をなしていた。


は、早くねえか…

彼女たちの開始は14時30分のはず。なのに50分も前から並んでいるのか。


やむなくその列の最後尾に並ぶと何人かの女性がキッと私を睨みつけた。

感覚的には電車の女性専用車両に誤って乗ってしまった時に似ている。


『あの、この列は女性の受付待ちですよ?』


二つ前に並ぶ中年女性が私にそう伝えた。


「はい。ただ私は14時からでして」

『女性と一緒に受けるんですか?』

「いえ、そうならないように多分私だけ早く開始するんだと思います」


明らかに納得していない顔で質問女性は前を向き直した。


そんなに怒ることじゃないだろ…


14時5分前になり、男性医師が私を呼び無事に健康診断を受けることができた。


しかし本当に居心地の悪い空間だった。


昔はどんな状況であれ、女性が多い空間を求めていた。


女子大学は実は男性も入れて、ずっとモテるという話を聞き、憧れ、就職先も女性9割の職場を探したくらいだ。



だが現在はその状況がもはや恐怖でしかない。


時代が変わったのか。

それとも私が歳をとったのか。


余談だが、私は満員電車で女性専用車両を利用せずにわざわざ混雑車両に乗ってきて、なぜかずっと他の男性乗客に不快そうにしている女性が不愉快でならない。

いやそんなにイライラするなら女性専用車両使えよ、と。


だがきっと、その人にもその人の事情があるのだ。


私が健康診断の時間を間違えてしまったように。






でも絶対、あの時間間違いは私ではない。

病院側のミスだ。断言できる。