Instagramで広告が強制表示されるようになった。

わずか5秒程度待てばスキップが可能になるのだが、やはりどの広告も良くも悪くも目がとまってしまう。

中でもメンズ脱毛の広告は毎回たまらない気持ちになる。

メンズエステ大好き人間の私としては、当然ながら美人が鼠径部を淫靡になぞる映像はどうしても興奮してしまうものがある。
加えて最近は女性が水着だ。

もちろん実際のところ、そんな美味しい話があるわけがないし、実際は男性が施術をする可能性だってあることも理解している。

けれどもなんとなく、脱毛しようかな、という気持ちになる。



以前懇意にしている女性に私が全身脱毛願望があることを伝えたところ
『私は脱毛している男嫌いなんだよね。なんかあるべき場所にあるものが無いのってすごい気持ち悪くない?だからやめて』

と言われた。


ならばとそのときは考えをあらためたわけだが、とはいえ毛の手入れは必要であり、これが億劫でならない。


こだわっていなくても眉毛や耳、鼻毛は整えないといけないし、脇は夏場匂うので腋毛は剃っておきたい。
陰毛はほったらかしにするとひどくむさ苦しくなるし、足の甲や指先にも気持ちの悪い毛が生えてくる。
しかも私は毛深いので胸や臍下、背中やお尻もどうにかしなくてはならない。

これを全て対応していると、冗談ぬきに時間を相当浪費してしまうので、なんとかしたいのだ。



その懇意の女性とは最近やや疎遠だ。

ならば気を遣うこともない。




意を決してそのエロい広告のメンズ脱毛に応募をしようとページを開いた。

必要となる個人情報を入力し、最後のステップとしてあとは予約ボタンを押すだけというところで、あらためてHPを見直してみた。



“12カ月無料”が売り文句として大々的にアピールされていたが、よくよく確認してみるとそれは60カ月のうちの12カ月が無料というもので、じゃあ1年間は無料で解約できるのかというと
最初に契約金を払わされるのでそういうわけではないということがわかった。

要は単なる20%オフくらいの話だ。

ためしに口コミを見てみると、たしかに女性が担当はするのだが、遅い時間帯に予約をするとセラピストが早く帰りたくてイライラしだすだの、お試し期間が終わるやいなやとんでもなくしつこく登録勧誘してくるだの、断ると出されたペットボトルを取り上げられるだのと恐ろしいことが書いてある。


これはいかん。


結局、予約するボタンを押さずにブラウザページを閉じ、私は自身が脱毛したかったことも、なんかエロいお姉さんに鼠蹊部をいじられるかもしれないことも、全て忘れることにした。




翌日の今日、ショートメールが止まらない。

"予約がまだ済んでません"はもちろん、宣伝メッセージが2時間おきにとどくしまつになった。


そもそも予約してないのになぜ電話番号がわかるのかと思い返してみたが、あのとき予約ボタンこそ押さずとも電話番号を入力し、次のページへボタンを押してしまったので、それで番号を抜かれたのだろう。


恐ろしい話だ。


せっかくなので今度、潜入してみたいと思う。