ジョンキューザック主演のパニックムービー、“2012”をネットフリックスで観賞すると、なんとそれが2009年であることにとても驚いた。
もう16年も前・・・
あの頃私はとにかく暇さえあればゲームをして、暇さえあれば散歩をして、暇さえあれば朝まで鈴木とカラオケをして、暇させあれば映画館で映画を観ていた。
ジョンキューザックについては何度も木曜洋画劇場で観た“アイデンティティー”は大好きな映画のひとつであるし、ニコラスケイジ主演の“コンエアー”で心強い味方となる彼がとても好きだった。
その影響で大学生の頃は“1408号室”と“2012”をわざわざ映画館で観たのだが、まさかそれが15年前とは。
年々インターネットが力を増しているのなら、黎明期から時間の経過した2009年も今に比べるとまだまだネット環境は普及しきっていなかったわけだが、それでも”2012”が酷評されていたのは覚えている。
ハッキリ言ってしまえば、名作タイタニックよりも2012のほうが好きだ。
同時に16年前の高予算低評価映画に思いを馳せることができる人生は、あながち悪すぎるというほどでもないのかもしれない。
カフカ青年との語らいで思い出したことなのだが、2009年の10月の誕生日は私にとってかけがえのない思い出となっていた。
たしか地域の子供たちを呼び、サークルで英語を教えながらキャッキャワイワイしていたが、それが終わると当時めちゃくちゃ仲が良かった花本と出店をまわったりした。
花本は同じサークルの星駿平や“名前を奪われた男”こと酒井ゼミの眼鏡から告白をされて断っており、そんな女性を侍らせて学園祭をまわるというのはなんとも承認欲求の満たされる話だ。
花本はあの日なぜかカップルのように私に寄り添い、ひとしきり遊んだあと一緒にオードリーとサンドイッチマンの生漫才を観て、二人で大笑いをしてから一瞬の隙をついて私は家に帰った。
せっかく気分が良かったのでココイチでカレーライスをテイクアウトし、テレビでイロモネアを観ながらそれを食べていると、鈴木から何度も電話がかかってきていた。
折り返すと鈴木が怒り気味に「いまどこ?何やってんの?」と聞いてくる。
「カレー食ってるけど。家で」と答えると、「いやカレー食ってんじゃねよ!!」とめちゃくちゃ怒鳴られ、「今すぐ家に来い!」と言われた。
なんでカレーを食ってただけで怒られるのかまったくわからなかったが、とにかく鈴木がブチ切れていたのでカレーをとりあえず食べて鈴木宅に向かう。
部屋にあがると鈴木がすぐに私に「いやカレー食ってんじゃねえよ・・・」と今度は焦燥した感じで伝えてくるので、「カレー食ってただけでそんな怒る?」ときくと再び鈴木は「カレー食ってんじゃねえよ」と言い、そのまま外に出て行ってしまった。
鈴木の部屋には他のサークルメンバーの何人か(星駿平や“名前を奪われた男”こと酒井ゼミの眼鏡、花本ももちろんいた)がおり、そこにカフカ青年もいた。
「けいちゃんも呼ばれたの?」と聞くとカフカ青年は「見たことも聞いたこともない女からデートに誘われたので現地で待ってたら、鈴木に呼ばれた」と要領を得ないことを言う。
「俺はカレーを食べていた」と言うとカフカ青年は「要領を得ない話だ」と言い、「何かがおかしい」と呟いた。
少ししてサークル長の繁原が「みんなで買い出しに行こう」と言った。
私は「いやいきなり呼びつけられて、寒い中買い出しなんか行きたくない。ここに残る」と言うと、カフカ青年も「同感だ」と言う。
するとそこにいる人たちから一斉に「そんなこといいから」と怒られ、私とカフカ青年は無理矢理外に連れ出された。
道中カフカ青年は、漢検の理事長が逮捕された時に被っていたような帽子を深く触りながら、「もしかしたら僕がデートを約束した女性は、存在しないのかもしれない」と言った。
そして「あなたは何かおかしなことがなかったか?」と尋ねてきた。
「ある。花本がまるでカップルのように寄り添ってきたし、鈴木は俺をカレーを食ったという罪だけで裁いた」と答えると、彼は「なんということだ」と言った。
気づけば私達は人気のまったくない公園へと誘いこまれていた。
「道を調べるから待って」と繁原が言うので、黙って立っていると彼らは私とカフカ青年を取り囲み、「ハッピーバースデー!!!」と叫び、ビールをありったけかけた。
花本が私に寄り添ったのも、カフカ青年の下に顔の無い女がデートの誘いをしたのも全て、この瞬間のサプライズのためだった。
もう16年も前・・・
あの頃私はとにかく暇さえあればゲームをして、暇さえあれば散歩をして、暇さえあれば朝まで鈴木とカラオケをして、暇させあれば映画館で映画を観ていた。
ジョンキューザックについては何度も木曜洋画劇場で観た“アイデンティティー”は大好きな映画のひとつであるし、ニコラスケイジ主演の“コンエアー”で心強い味方となる彼がとても好きだった。
その影響で大学生の頃は“1408号室”と“2012”をわざわざ映画館で観たのだが、まさかそれが15年前とは。
年々インターネットが力を増しているのなら、黎明期から時間の経過した2009年も今に比べるとまだまだネット環境は普及しきっていなかったわけだが、それでも”2012”が酷評されていたのは覚えている。
ハッキリ言ってしまえば、名作タイタニックよりも2012のほうが好きだ。
同時に16年前の高予算低評価映画に思いを馳せることができる人生は、あながち悪すぎるというほどでもないのかもしれない。
カフカ青年との語らいで思い出したことなのだが、2009年の10月の誕生日は私にとってかけがえのない思い出となっていた。
たしか地域の子供たちを呼び、サークルで英語を教えながらキャッキャワイワイしていたが、それが終わると当時めちゃくちゃ仲が良かった花本と出店をまわったりした。
花本は同じサークルの星駿平や“名前を奪われた男”こと酒井ゼミの眼鏡から告白をされて断っており、そんな女性を侍らせて学園祭をまわるというのはなんとも承認欲求の満たされる話だ。
花本はあの日なぜかカップルのように私に寄り添い、ひとしきり遊んだあと一緒にオードリーとサンドイッチマンの生漫才を観て、二人で大笑いをしてから一瞬の隙をついて私は家に帰った。
せっかく気分が良かったのでココイチでカレーライスをテイクアウトし、テレビでイロモネアを観ながらそれを食べていると、鈴木から何度も電話がかかってきていた。
折り返すと鈴木が怒り気味に「いまどこ?何やってんの?」と聞いてくる。
「カレー食ってるけど。家で」と答えると、「いやカレー食ってんじゃねよ!!」とめちゃくちゃ怒鳴られ、「今すぐ家に来い!」と言われた。
なんでカレーを食ってただけで怒られるのかまったくわからなかったが、とにかく鈴木がブチ切れていたのでカレーをとりあえず食べて鈴木宅に向かう。
部屋にあがると鈴木がすぐに私に「いやカレー食ってんじゃねえよ・・・」と今度は焦燥した感じで伝えてくるので、「カレー食ってただけでそんな怒る?」ときくと再び鈴木は「カレー食ってんじゃねえよ」と言い、そのまま外に出て行ってしまった。
鈴木の部屋には他のサークルメンバーの何人か(星駿平や“名前を奪われた男”こと酒井ゼミの眼鏡、花本ももちろんいた)がおり、そこにカフカ青年もいた。
「けいちゃんも呼ばれたの?」と聞くとカフカ青年は「見たことも聞いたこともない女からデートに誘われたので現地で待ってたら、鈴木に呼ばれた」と要領を得ないことを言う。
「俺はカレーを食べていた」と言うとカフカ青年は「要領を得ない話だ」と言い、「何かがおかしい」と呟いた。
少ししてサークル長の繁原が「みんなで買い出しに行こう」と言った。
私は「いやいきなり呼びつけられて、寒い中買い出しなんか行きたくない。ここに残る」と言うと、カフカ青年も「同感だ」と言う。
するとそこにいる人たちから一斉に「そんなこといいから」と怒られ、私とカフカ青年は無理矢理外に連れ出された。
道中カフカ青年は、漢検の理事長が逮捕された時に被っていたような帽子を深く触りながら、「もしかしたら僕がデートを約束した女性は、存在しないのかもしれない」と言った。
そして「あなたは何かおかしなことがなかったか?」と尋ねてきた。
「ある。花本がまるでカップルのように寄り添ってきたし、鈴木は俺をカレーを食ったという罪だけで裁いた」と答えると、彼は「なんということだ」と言った。
気づけば私達は人気のまったくない公園へと誘いこまれていた。
「道を調べるから待って」と繁原が言うので、黙って立っていると彼らは私とカフカ青年を取り囲み、「ハッピーバースデー!!!」と叫び、ビールをありったけかけた。
花本が私に寄り添ったのも、カフカ青年の下に顔の無い女がデートの誘いをしたのも全て、この瞬間のサプライズのためだった。