『私はメジャー系の音楽あんまり聴かないんですよねー』

ではいったいこの人の言うメジャー系とはどの歌手のことを指すのだろうか。

隣の部署の長井さんは度々それを部署内で雑談しており、逐一私の耳は反応してしまった。

長井さんはコスプレイヤーのえなこに似ていて、言わば業界の花であった。

「あー俺も同じっすね」

最近入社した名前も知らない菊池風磨似がそれに続く。

決して顔は菊池風磨に似ていないのだが、彼は菊池風磨まんまの髪型をしているし、言動も菊池風磨に寄せている。

あきらかに意識しているが彼はタイムレスを聴かないのだろうか。


まるで大学のサークル室だ。


先日私はその部署の案件の見積出しを頼んだが、あがってきた数字は相場の3倍だった。

『強気でいきたいんで』と訳の分からない女がかましてきたが、この案件をもってきたのも紹介しているのも繋ぐのも私だ。

その強気が私の顔を潰すことに彼女は気づかないのだろうか。

『私は明日友達の結婚式なんで早く帰らないといけないので』と彼女は言い、午後にはその上司の男性が「あとはまかせて。結婚式楽しんで!」と伝えていた。

彼女が退社するとその上司は私に「俺は何も引き継いでないからイチから説明してくれ」と言ってきたことで私の感情は一気に怒へと進んだ。

「なら結婚式楽しんでとか言わないでくださいよ」

そう言うと彼は「なんだその態度は」とめちゃくちゃ怒ってきたので、私は「申し訳ありません」と深々と謝った。

その後、給湯室で長井さんが『謝るなら最初から反抗しなければいいのに』と明らかに私の陰口をたたいているのがきこえた。

やれやれ。

しかしまあこれも日頃から私が嫌われているということなのだろう。


一時期、嫌われることに躊躇がなくなっていたが、いまは一周して嫌われることに臆病になってしまっている。


誰もいないオフィスで全裸になってみた。

けれどもそれはなんなら誰しもがやったことがあるような気がしたので、とりあえず靴下だけは履いてみた。

すぐにあまりにも不毛だったので服を着た。


最近よく、モーニング娘。の抱いてhold on meを聴く。

当時プロデューサーのつんく♂氏がかなり熱心に言葉回しを指導したこともあって、それは令和の現代で聴いても名曲だった。

Oh No hold me 愛がない男ね

なんて秀逸な歌詞なのだろうか。

長井さんや菊池風磨なりきりにはきっとこの曲の良さにはたどり着けないだろう。

余談だが、私はウリナリのコント、モーニング息子。が好きだった。

「いくぞ!モーニングぅだましい!」

と掛け声をかける内村光良が大好きだった。