昨今の新幹線にはトレインデスクという車両がある。

コロナ禍以降もはや主流ともなったオンライン打合せだが、この車両はそういった意味で仕事や勉強をする人を優先としている。

パソコンをいじるのは当然のこと、車両内でのオンライン打合せや携帯電話での通話も可能だ。


ならば裏を返せば、当然ながら他の車両内での通話は迷惑行為に該当する。


最近の新幹線はどの時間帯でもギュウギュウに乗客を詰めるので、必然的に隣の席が近くなるわけだが、その中でパソコンをイジっている人が私はあまり好きではない。


通話やミーティングはうるさくてかなわないが、あの彼らのどこへアピールするでもないキーボードのカチャカチャ叩く音が、どうにも不快でならない。


そもそも新幹線の一般指定席の中でまで仕事をするってセンスは結構終わってないだろうか。


昔、飲み会にまでパソコンを持ってきて、歓談の隣で仕事をしていた同僚に心の底からドン引きしたことがあるが、正直指定席パソコンも同じくらいキツイものがある。



トレインデスクでやれば良いのに。



けれども結果的に、いや世間一般として大概、私のように移動中は何もせずに携帯を弄っているだけの人間よりも、そのように所構わずパソコンを開くおじさんの方が、仕事がデキるとされている。

そのように思う。


私の4列先に座る男性らしき人もいままさにパソコンを開いており、物凄い勢いでメールか何かを打っている。


やれやれ。


彼のキーボードを叩く音は、私の眠りを大いに妨げる。

一度その音が気になってしまうともう止まらない。


勘弁してくれ。俺は寝たいんだよ。


仕方なくイヤホンをつけ、なるべく迷惑にならない程度の音量でYouTubeでプレデターシリーズの解説動画を聞き、目を閉じ無理矢理眠ることにした。


目を覚ました頃にはもう目的地まであと10分程度のところまできていた。


なんだかんだで寝れたなーとイヤホンをとると、また前方からカタカタカタカタとキーボードを叩く音が聞こえてくる。


マジかよあいつずっとパソコンいじってたのかよ。


正気ではない。


どんな顔をしているのか見たくなったので、終点につくなり荷物を背負いそのキーボードマンの横を通過した。


刹那的にチラリと彼の顔をみた。



私の上司だった。