『数分前に私ここ来たばかりなんです。ドゥフドゥフ。いきなりお客さんがくるなんて思わなくてドゥフドゥフ』
なんだこの珍妙な生き物は…
数日前、知人から「めちゃくちゃ良いメンズエステをみつけたから騙されたと思って行ってみて」と紹介された本八幡のメンズエステで現れたのは、見るも悍ましい、女性というカテゴライズなのかもわからないバナナマン日村のようなおばちゃんだった。
『新人なんで優しくしてくださいドゥフ』と日村は言うので、それならいっそ施術なしで時間いっぱいまで会話をしませんかと提案をしようかと考えたが、このドゥフドゥフ喋る怪物と会話をするはするで到底成り立たないとすぐに思い、やむなく最安値の最短コースで施術を受けることにした。
騙された。
ただただそう思った。
しかしこうなってくると切替が大事だ。
失ったお金は返ってはこない。
それならば料金分この怪物と存分に楽しむか、なるべくエロいことをさせず、もはやマッサージであるにも関わらず身体に触れさせずに精神的ダメージを軽減するかの二択を選ぶ必要がある。
私は迷わず後者だ。
けれども日村は積極的だった。
『それでは施術していきます』と丁寧に挨拶したかと思えば直ぐに私の睾丸を『お兄さん!元気ですかー!?チーン!』と言いながら突いてきた。
思わず「いや…ちょっ…」と戸惑うと、『あれ?嫌ですか?チーン!』とまた私の睾丸を突く。
「いや普通に睾丸を突かれて驚いているのですが」
『嫌いですか!?キンタマ。チーン!チーン!』
わざわざこっちが睾丸と言っているのにキンタマと叫ぶ下品さもさることながら、突く度にセルフでチーン!と謎の効果音をつけてくることが私を最上級に萎えさせた。
いったいこいつにどんな研修をしたんだ。
責任者は出てこい。経緯を時系列にまとめて再発防止を記載した顛末書を出せ。
元気ですかー!?じゃないよ。会長も草葉の陰から泣いているよ。
もうこうなったら無視して寝るしかない。
とにかく背中が疲れているから背中をマッサージしてくれ。むしろ背中以外やらなくていいからと念を押し、私はうつ伏せで目を閉じることにした。
だがそれでもこのバナナマンはちょこちょこ私のキンタマを突いてくる。ちょっと油断するとすぐに『チーン!デュフフ』をされてしまう。
このままでは埒が明かない。
なので私は『チーン!』されるやいなや「おい!!」と怒鳴ることにした。
そこからしばらくネグリジェのバナナマンの『チーン!』と紙パンツ一丁の小太り中年の「おい!」が交錯することになる。
『チーン!』
「おい!」
『チーン!』
「おい!」
『チーン!』
「おい!」
『チーン!』
「おい!」『チーン!』
「…おい」『チーン!!』
いや頭おかしくなるわ。
薄々感じてはいたが、この化け物、ノッている。
期せずして私のおい!がこの化け物の悪ノリをブーストさせている感じすらする。
『お兄さん、ノリいいですね』
「…」
『私めっちゃ楽しいですドゥフフ』
いったい前世でどれだけの悪事を犯せば、このような目にあうというのだろうか。
むしろ金を払ってくれ俺に。おい!一回で100円とるぞ。
私は諦めてひたすら目を瞑った。
この間もバナナマンは私にチーン!をし続けた。
おい!を言おうが言わまいが、バナナマンのチーンに影響はなかった。
いやキンタマ壊れてまうわ。
1万2千円をドブに捨ててしまった。
なんだこの珍妙な生き物は…
数日前、知人から「めちゃくちゃ良いメンズエステをみつけたから騙されたと思って行ってみて」と紹介された本八幡のメンズエステで現れたのは、見るも悍ましい、女性というカテゴライズなのかもわからないバナナマン日村のようなおばちゃんだった。
『新人なんで優しくしてくださいドゥフ』と日村は言うので、それならいっそ施術なしで時間いっぱいまで会話をしませんかと提案をしようかと考えたが、このドゥフドゥフ喋る怪物と会話をするはするで到底成り立たないとすぐに思い、やむなく最安値の最短コースで施術を受けることにした。
騙された。
ただただそう思った。
しかしこうなってくると切替が大事だ。
失ったお金は返ってはこない。
それならば料金分この怪物と存分に楽しむか、なるべくエロいことをさせず、もはやマッサージであるにも関わらず身体に触れさせずに精神的ダメージを軽減するかの二択を選ぶ必要がある。
私は迷わず後者だ。
けれども日村は積極的だった。
『それでは施術していきます』と丁寧に挨拶したかと思えば直ぐに私の睾丸を『お兄さん!元気ですかー!?チーン!』と言いながら突いてきた。
思わず「いや…ちょっ…」と戸惑うと、『あれ?嫌ですか?チーン!』とまた私の睾丸を突く。
「いや普通に睾丸を突かれて驚いているのですが」
『嫌いですか!?キンタマ。チーン!チーン!』
わざわざこっちが睾丸と言っているのにキンタマと叫ぶ下品さもさることながら、突く度にセルフでチーン!と謎の効果音をつけてくることが私を最上級に萎えさせた。
いったいこいつにどんな研修をしたんだ。
責任者は出てこい。経緯を時系列にまとめて再発防止を記載した顛末書を出せ。
元気ですかー!?じゃないよ。会長も草葉の陰から泣いているよ。
もうこうなったら無視して寝るしかない。
とにかく背中が疲れているから背中をマッサージしてくれ。むしろ背中以外やらなくていいからと念を押し、私はうつ伏せで目を閉じることにした。
だがそれでもこのバナナマンはちょこちょこ私のキンタマを突いてくる。ちょっと油断するとすぐに『チーン!デュフフ』をされてしまう。
このままでは埒が明かない。
なので私は『チーン!』されるやいなや「おい!!」と怒鳴ることにした。
そこからしばらくネグリジェのバナナマンの『チーン!』と紙パンツ一丁の小太り中年の「おい!」が交錯することになる。
『チーン!』
「おい!」
『チーン!』
「おい!」
『チーン!』
「おい!」
『チーン!』
「おい!」『チーン!』
「…おい」『チーン!!』
いや頭おかしくなるわ。
薄々感じてはいたが、この化け物、ノッている。
期せずして私のおい!がこの化け物の悪ノリをブーストさせている感じすらする。
『お兄さん、ノリいいですね』
「…」
『私めっちゃ楽しいですドゥフフ』
いったい前世でどれだけの悪事を犯せば、このような目にあうというのだろうか。
むしろ金を払ってくれ俺に。おい!一回で100円とるぞ。
私は諦めてひたすら目を瞑った。
この間もバナナマンは私にチーン!をし続けた。
おい!を言おうが言わまいが、バナナマンのチーンに影響はなかった。
いやキンタマ壊れてまうわ。
1万2千円をドブに捨ててしまった。