『私、フットサルサークル入ってるって言ってたでしょ?女子の』

「はい」

『今ね、キャプテン派と副キャプテン派で、分裂してる』


「え、何それ。地獄じゃないですか。どうして?」

『チームとしてしっかり強くなりたいキャプテン派と、社会人サークルなんだから自分の生活優先にしたい副キャプテン派、って感じ』

「ええ…ギスギスしてるんですか?」

『もう双方無視してる』


地獄すぎる…



めぐみさんがフットサルサークルに入ったときいたのは昨年のことだ。

どう?似合う?と送られてきたユニフォーム姿の写真がやたらとエロく見えたのが鮮明に覚えている。

「できればその格好で一度シテみたいんですけど」

『男の子ってそういうのほんと好きだよね。そのうちね』



そう言われて約1年間、ユニフォームSEX、略してユニセックスを楽しみにしていたわけだが、実現に至る前に彼女がユニフォームを着る環境自体が上述のように地獄の業火に包まれてしまった。


「そんな良い大人なのに中学生みたいな揉め事あるんですね」

『そうだね。双方派閥メンバーを増やすために必死だよ。私はこの間、副キャプテンから飲みに誘われた後、何も知らないキャプテンから飲みに誘われたよ』

「どっちを選んだんです?」

『先に誘われたんで、って副キャプテンと飲みに行ったけど…キャプテンはめちゃくちゃ怒ってた。はあ?飲みにいくの?って』


「あの」

『なに?』

「到底チームスポーツやってるとは思えないエピソードでびっくりなんですが…」

『その通りだよね』


そう言って彼女は深いため息をつき、こう続けた。


『人間関係って、昔から何年経っても、煩わしいよね