駅前のベンチに腰掛けて、集まってくる鳩を見ているとどうにも不安な気持ちになってきてしまう。
それは鳩自体がどうこうというわけではないのだが、鳩を眺めている間はなぜか周りの時間がスローになった感覚に陥るし、耳もやたらと感度が高くなり、周囲のあらゆる会話をキャッチしてしまう。
色々な考え事をしてしまった。
訳のわからないサイクリングバイクのお兄さんはやたらと距離を詰めて横に座ってくるし、反対側では若い男性二人が「あいつはイカサマをしている」と若さに反比例するような地獄じみた会話をしている。
なんだか気分が落ち込んできてしまったのでベンチを立ち、しばらくあてどなく歩いてみることにした。ここに座り続けるよりは幾分、いやかなり気分は晴れる。
しばらく歩き続けていると、15年以上前に一悶着あった本屋に辿りついたが、シャッターが閉まっており、そこには"閉店のお知らせ"の貼り紙が見えた。
この店はかつては2階建てであり、文庫本が大量にあったのだが、ある日私は何の本を買うべきか決めきれず、1時間近くも店内をうろついてしまった。
後日いつものように本を買いにその書店に行くと、なんとレジ横に私が店内をうろついている防犯カメラの映像がプリントアウトして貼られていた。
「あのー、これ僕の写真なんですが」
そう言うとすぐに中年の女性が現れ、私に『これは注意喚起みたいなものなので』と言う。
「なんの注意喚起でしょうか」と問うと、一切の間もなくその中年は『万引きのです』と告げた。
「いや僕、万引きなんて一回もしたことないですけど」
『でも怪しいことはなさってましたよね?』
「してませんし、するつもりはないです」
『でもそれを証明できますか?』
「いやそれなら僕が万引きしようとしてたって証明できますか?」
『できないから注意喚起をしているんです』
まったく埒があかない。
それでも必死に写真を取り下げるよう中年と言い争いをしていると、いつの間に人だかりができてしまい、業務に支障をきたさんばかりになってしまっていた。
『わかりました。では取り下げますのでもう当店には二度とこないでください』
こうして私はその本屋を出禁になった。
全くの無実であったし、なんなら勝手に写真を貼られた分被害者なのではないかといまなら思う。
あらゆる戦い方があったのではないかとも。
だがいまこの閉店のチラシをみて思うのは、ざまあみろ!というような感情ではなく、こういう店も潰れてしまうんだなあという寂しさである。
昨日も夢をみた。
その夢には、サテラが現れた。
サテラは私に「1000万円融資してもらえないか。それで起業するから」と言った。
「何で起業するんだ?」と問うと「お笑い専門会社を作る」と言う。さらにサテラは「借金が500万円ある」とも言った。
「そんな借金があるのに融資で良いのか?」と言うと「よくわからない」と返す。
「お前はお笑いを見ないし興味もないと言ってたじゃないか」と言うと「マーケットはタフだ」と言う。
「お前には無理だよ」
「ならお前の悪行と顔写真をプリントしたTシャツを着て名古屋へ旅行にいく」
そう言ってサテラは出ていってしまった。
これに関しても夢とはいえ、やはり腹立たしさはなく、「まあ脅しかけてくる分あいつマシになったな」くらいにしか感じなかった。
希薄さだけが、年々浮き彫りになっていく。
私自身も、取り巻く環境も、属する社会も。
それは鳩自体がどうこうというわけではないのだが、鳩を眺めている間はなぜか周りの時間がスローになった感覚に陥るし、耳もやたらと感度が高くなり、周囲のあらゆる会話をキャッチしてしまう。
色々な考え事をしてしまった。
訳のわからないサイクリングバイクのお兄さんはやたらと距離を詰めて横に座ってくるし、反対側では若い男性二人が「あいつはイカサマをしている」と若さに反比例するような地獄じみた会話をしている。
なんだか気分が落ち込んできてしまったのでベンチを立ち、しばらくあてどなく歩いてみることにした。ここに座り続けるよりは幾分、いやかなり気分は晴れる。
しばらく歩き続けていると、15年以上前に一悶着あった本屋に辿りついたが、シャッターが閉まっており、そこには"閉店のお知らせ"の貼り紙が見えた。
この店はかつては2階建てであり、文庫本が大量にあったのだが、ある日私は何の本を買うべきか決めきれず、1時間近くも店内をうろついてしまった。
後日いつものように本を買いにその書店に行くと、なんとレジ横に私が店内をうろついている防犯カメラの映像がプリントアウトして貼られていた。
「あのー、これ僕の写真なんですが」
そう言うとすぐに中年の女性が現れ、私に『これは注意喚起みたいなものなので』と言う。
「なんの注意喚起でしょうか」と問うと、一切の間もなくその中年は『万引きのです』と告げた。
「いや僕、万引きなんて一回もしたことないですけど」
『でも怪しいことはなさってましたよね?』
「してませんし、するつもりはないです」
『でもそれを証明できますか?』
「いやそれなら僕が万引きしようとしてたって証明できますか?」
『できないから注意喚起をしているんです』
まったく埒があかない。
それでも必死に写真を取り下げるよう中年と言い争いをしていると、いつの間に人だかりができてしまい、業務に支障をきたさんばかりになってしまっていた。
『わかりました。では取り下げますのでもう当店には二度とこないでください』
こうして私はその本屋を出禁になった。
全くの無実であったし、なんなら勝手に写真を貼られた分被害者なのではないかといまなら思う。
あらゆる戦い方があったのではないかとも。
だがいまこの閉店のチラシをみて思うのは、ざまあみろ!というような感情ではなく、こういう店も潰れてしまうんだなあという寂しさである。
昨日も夢をみた。
その夢には、サテラが現れた。
サテラは私に「1000万円融資してもらえないか。それで起業するから」と言った。
「何で起業するんだ?」と問うと「お笑い専門会社を作る」と言う。さらにサテラは「借金が500万円ある」とも言った。
「そんな借金があるのに融資で良いのか?」と言うと「よくわからない」と返す。
「お前はお笑いを見ないし興味もないと言ってたじゃないか」と言うと「マーケットはタフだ」と言う。
「お前には無理だよ」
「ならお前の悪行と顔写真をプリントしたTシャツを着て名古屋へ旅行にいく」
そう言ってサテラは出ていってしまった。
これに関しても夢とはいえ、やはり腹立たしさはなく、「まあ脅しかけてくる分あいつマシになったな」くらいにしか感じなかった。
希薄さだけが、年々浮き彫りになっていく。
私自身も、取り巻く環境も、属する社会も。