猫2

別部署で席の配置としては隣のシマにいる石井さんがコロナに感染した。

現在の日本はまさに再びコロナが猛威を奮っているのは皆さんご存知のことと思うが、我が社でも爆発的に感染者が増加している状況である。


「うわー。コロナかよ」


声を抑えることなく、豊田がそう言った。


「なんだよじゃあ今日の仕事バラシかあ。勘弁してほしいな」


そう言う豊田を見て、私は見た目も臭いも性格もなんて醜悪なのだろうか、と思わずにはいられなかった。


このブログで何日か前に投稿したが、先々週豊田はノロウイルスに感染し、職場で盛大に嘔吐をした。

もともと豊田は非常に不潔で、月曜なのにスーツも作業着もシミだらけであるし、50代なのにペット禁止の学生用アパートで猫を多頭飼いしているのでアンモニア臭と獣臭にあふれているし、机はいつもコーラの液が溢れている。


そんな豊田が嘔吐したわけだから、社内は阿鼻叫喚であったし、除菌に相当な労力をさかれた。

それでも結局心配し、社用車で自宅まで送迎までしてあげたのだ我々は。


にもかかわらず、彼は自分を棚にあげてコロナに感染した石井さんに苦言を呈す。


「あそこが病原菌で溢れてるのか」

石井さんの席を指差しながら、豊田はニヤニヤとそう言った。



よう言えたなこいつ。



豊田の勤務態度は非常に問題になっている。

彼はPCが使えないため事務処理ができず、ひたすら外出先の巡回をさせられているが、外出先でも社内でもずっと携帯アプリを弄っていて仕事をしない。


また、異動命令も拒否し、いまの部署に居座り続けてもいる。


今期、さすがにただの経費食いでしかない存在を見かねた上層部は、彼に対し営業ノルマを課すこととなった。

それが発表された会議の場で、なんと豊田は「私は入社以来営業の仕事をしてませんし、それは業務外なのでやりません」と拒否した。


度重なる業務拒否は懲戒解雇にすら発展する場合がある。



彼が解雇された場合どうなるのか。

前述の通り年齢も年齢である上に、他の追随を許さないレベルの不潔、そして資格無しのため再就職はいくら売り手市場の昨今でも無理だろう。

そうなると必然的に無職になり、いまの住処も退去しなくてはならなくなるかもしれない。

だがペット禁止のアパートで猫多頭飼いの上、繰り返しになるが他の追随を許さない不潔だ。

退去するとなると下手をすれば100万円以上、いやもっと原状回復関連の費用を請求されるかもしれない。


恐らく貯金もないだろう。


つまり彼はなんとしてでもこの会社にしがみつかなくてはならない。

なのにワガママを通そうとする。


やはり醜悪だ。


そしてもうひとつ、絶対的になりつつある方程式がある。



不潔な奴ほど、コロナ感染者にやたら厳しい、だ。