携帯電話が壊れてしまった。
正確に壊れているのかどうかはよくわからないが、とにかく使用ができなくなった。
俗に言う"リンゴループ"というやつで、ずっとアップルのロゴ画面が点いたり消えたりし、全く操作…というかそれ以外の画面がつかない状況にある。
調べてみれば直す方法は無いことも無いみたいだが、それはそれでどうにも面倒臭く、私は諦めてしまった。
これにより携帯ゲームやAV観賞はもちろんのこと、LINEも電話もできなくなり、事実上私は完全鎖国状態となった。
鎖国開始から20時間。
孤独。
携帯ひとつ使えなくなるだけでこうも孤独になるものだろうか。
遮断率がひどい。
既にこの状況に耐えることができなくなり、いまこうしてPCから日記を書いている。
色んなことに挑戦し、色んなことを経験しようとしてきたが、突き詰めてしまえば人生なんてものはこのリンゴマークの点滅する小さな箱程度のサイズしかないということだろう。
昔、野田洋次郎がこう歌っていた。
ふいに携帯電話を暇つぶしがてら見ていると
あのケンカもあの約束も残っていて
まるで僕の歴史を携帯しながら生きている
ようなそんな変な僕です。
さらに電話帳をぼんやりと眺めていると
どうにもこうにも思い出せない人がいて
まるで僕よりも僕のことをわかっている
ようなそんな変な箱です。
15年くらい前の歌であり、あの当時は多分まだスマートフォンなんかはなかった筈だが、携帯電話自体は人々の依存対象に既になっていた。
時を経た現在、この個人的な鎖国下において、まさに携帯電話は私の歴史であり、私自身であり、私よりも私を知る何かであり…繋がる物であったと感じる。
あの段階でその境地を完璧に歌いあげていた野田洋次郎はやはり天才だ。
わけのわからない中年のおっさんがオス丸出しで女性を口説くために一夜漬けでテキトーに洋次郎を覚え披露することで起こる不愉快な搾取があまりにも勿体無いし、深く憤ってしまう。
何よりあの楽しい思い出の写真もやりとりも、一瞬にして見れなくなってしまうことが悲しい。
連絡をとれなくなることが悲しい。
自分が一人である、ということを認識できなくなってしまうのが悲しく怖い。
行き着く果ては三浦健太郎か、田中慎弥か。
その2人くらいになれるんだったら携帯なんかあっという間に捨ててしまうのだが。
明日はわけのわからないクレーム対応がある。
本当は明日会社を休んで健康ランドでゆっくり湯にでもつかろうかと思っていたが、先月中頃に案件を引き継いだ3年目の女性社員から『顧客から前任者から説明してくれ、と言われてしまったので連絡お願いします』と明らかにイライラした口調で電話がかかってきた。
「何かあったのですか?」と尋ねると、『昨日トラブルがあったのでそれの対応をして、今朝報告をいれたところなぜかご立腹で。理由は教えてくれなくて』と言う。
そこで昨日の対応表を送ってもらい確認したところ、彼女の対応はほぼ完璧だった。すごいなまだ3年で。
となると悪いのは前任の俺か。なんか報告漏れでもあったかな…ってか怒られるのかこれ…
覚悟を決めて電話をしてみると、意外にも顧客は温厚に「すみません、もう引継ぎ後なのに」と謝ってきた。
あれ?
とりあえず送られてきた対応表をもとに昨日のトラブルの説明をしたところ、これも顧客は問題ないしそちらのやり方でこの後はすすめていただいて結構です、と納得する。
なので「後任からも報告があったかと思いますが、何か失礼ありましたでしょうか?」と尋ねたところ
「まずうちの営業時間は10時からですよ。それなのに彼女は8時過ぎから何度も何度も電話を掛けてくるわけです。それで出たら今度は"以前から伝えていた件ですが"をやたら強調した上でひとしきり報告をした後、"で、どうしましょう?"ってきくんです。いやいやこっちのセリフだよって。こっちがどうするんですかそれで?って聞く側なのにどうしましょう?って知らねえよって感じですよ」
と一気に火がついてしまった。
わかるわ。ウザイわその対応。
陳謝し、再び後任に連絡をいれことの顛末を伝える。
彼女は『いやトラブルだから早く報告したんだし、"どうしましょう?"は"これでよろしいですか?"という確認で使ったんです。この顧客、クセ強いんですか?気難しいんですか?』と怒った。
若いなあ…
結局明日、彼女と一緒にその顧客へ説明と簡単な謝罪と顔合わせのために、私は同行しなくてはいけなくなってしまった。
いや遠いんだよ顧客の場所。
俺携帯終わってんだよ?移動中の暇どうすんねん。
『とりあえずお客さん要望ですから一次対応はやってもらえますか?進捗逐一共有忘れないでください』
ウザいなあ。なんかウザいなこの子。
いまの20代前半の若手ってみんなこんなにウザいんだろうか。
俺が同じくらいの時はもう何も考えずわからずであたふたしてただけだったし一刻も早く仕事のこと考えるのやめたかったけどなあ。
実際そのあたりどうなのか知り合いの若い子に聞いてみようと携帯を取る。
そうだ。携帯壊れてるんだった・・・。マジ何回目だよこの絶望。
見えもしない
聴こえもしない
君と繋がっている不思議
見えない糸が張り巡った
その中で今日も僕は生きている
その中で今日も僕はさがしている。
正確に壊れているのかどうかはよくわからないが、とにかく使用ができなくなった。
俗に言う"リンゴループ"というやつで、ずっとアップルのロゴ画面が点いたり消えたりし、全く操作…というかそれ以外の画面がつかない状況にある。
調べてみれば直す方法は無いことも無いみたいだが、それはそれでどうにも面倒臭く、私は諦めてしまった。
これにより携帯ゲームやAV観賞はもちろんのこと、LINEも電話もできなくなり、事実上私は完全鎖国状態となった。
鎖国開始から20時間。
孤独。
携帯ひとつ使えなくなるだけでこうも孤独になるものだろうか。
遮断率がひどい。
既にこの状況に耐えることができなくなり、いまこうしてPCから日記を書いている。
色んなことに挑戦し、色んなことを経験しようとしてきたが、突き詰めてしまえば人生なんてものはこのリンゴマークの点滅する小さな箱程度のサイズしかないということだろう。
昔、野田洋次郎がこう歌っていた。
ふいに携帯電話を暇つぶしがてら見ていると
あのケンカもあの約束も残っていて
まるで僕の歴史を携帯しながら生きている
ようなそんな変な僕です。
さらに電話帳をぼんやりと眺めていると
どうにもこうにも思い出せない人がいて
まるで僕よりも僕のことをわかっている
ようなそんな変な箱です。
15年くらい前の歌であり、あの当時は多分まだスマートフォンなんかはなかった筈だが、携帯電話自体は人々の依存対象に既になっていた。
時を経た現在、この個人的な鎖国下において、まさに携帯電話は私の歴史であり、私自身であり、私よりも私を知る何かであり…繋がる物であったと感じる。
あの段階でその境地を完璧に歌いあげていた野田洋次郎はやはり天才だ。
わけのわからない中年のおっさんがオス丸出しで女性を口説くために一夜漬けでテキトーに洋次郎を覚え披露することで起こる不愉快な搾取があまりにも勿体無いし、深く憤ってしまう。
何よりあの楽しい思い出の写真もやりとりも、一瞬にして見れなくなってしまうことが悲しい。
連絡をとれなくなることが悲しい。
自分が一人である、ということを認識できなくなってしまうのが悲しく怖い。
行き着く果ては三浦健太郎か、田中慎弥か。
その2人くらいになれるんだったら携帯なんかあっという間に捨ててしまうのだが。
明日はわけのわからないクレーム対応がある。
本当は明日会社を休んで健康ランドでゆっくり湯にでもつかろうかと思っていたが、先月中頃に案件を引き継いだ3年目の女性社員から『顧客から前任者から説明してくれ、と言われてしまったので連絡お願いします』と明らかにイライラした口調で電話がかかってきた。
「何かあったのですか?」と尋ねると、『昨日トラブルがあったのでそれの対応をして、今朝報告をいれたところなぜかご立腹で。理由は教えてくれなくて』と言う。
そこで昨日の対応表を送ってもらい確認したところ、彼女の対応はほぼ完璧だった。すごいなまだ3年で。
となると悪いのは前任の俺か。なんか報告漏れでもあったかな…ってか怒られるのかこれ…
覚悟を決めて電話をしてみると、意外にも顧客は温厚に「すみません、もう引継ぎ後なのに」と謝ってきた。
あれ?
とりあえず送られてきた対応表をもとに昨日のトラブルの説明をしたところ、これも顧客は問題ないしそちらのやり方でこの後はすすめていただいて結構です、と納得する。
なので「後任からも報告があったかと思いますが、何か失礼ありましたでしょうか?」と尋ねたところ
「まずうちの営業時間は10時からですよ。それなのに彼女は8時過ぎから何度も何度も電話を掛けてくるわけです。それで出たら今度は"以前から伝えていた件ですが"をやたら強調した上でひとしきり報告をした後、"で、どうしましょう?"ってきくんです。いやいやこっちのセリフだよって。こっちがどうするんですかそれで?って聞く側なのにどうしましょう?って知らねえよって感じですよ」
と一気に火がついてしまった。
わかるわ。ウザイわその対応。
陳謝し、再び後任に連絡をいれことの顛末を伝える。
彼女は『いやトラブルだから早く報告したんだし、"どうしましょう?"は"これでよろしいですか?"という確認で使ったんです。この顧客、クセ強いんですか?気難しいんですか?』と怒った。
若いなあ…
結局明日、彼女と一緒にその顧客へ説明と簡単な謝罪と顔合わせのために、私は同行しなくてはいけなくなってしまった。
いや遠いんだよ顧客の場所。
俺携帯終わってんだよ?移動中の暇どうすんねん。
『とりあえずお客さん要望ですから一次対応はやってもらえますか?進捗逐一共有忘れないでください』
ウザいなあ。なんかウザいなこの子。
いまの20代前半の若手ってみんなこんなにウザいんだろうか。
俺が同じくらいの時はもう何も考えずわからずであたふたしてただけだったし一刻も早く仕事のこと考えるのやめたかったけどなあ。
実際そのあたりどうなのか知り合いの若い子に聞いてみようと携帯を取る。
そうだ。携帯壊れてるんだった・・・。マジ何回目だよこの絶望。
見えもしない
聴こえもしない
君と繋がっている不思議
見えない糸が張り巡った
その中で今日も僕は生きている
その中で今日も僕はさがしている。