家の中を掃除していると見覚えのないビスケット缶が出てきて、中を開けてみるとその中には社会人一年目や二年目で遊び回った夜の店の女の子達の名刺がたくさん入っていた。

特に目を引いたのは女子高生メンズエステのラブプラスの多数の名刺だ。


ある程度行った店のことは酔っていない限りわりと記憶しているものだが、この店に行ったことはすっかり忘れていた。


それにしてもあまりにも多い名刺の数。30枚以上もある。

それもそのはずだ。ラブプラスは一回来店するたびに一番短い時間でも3回転以上するため、必然的に出会う女性の数も名刺の数も増えていく。



女子高生の格好をした若い女性が制服の胸元を大きく開けながら、その胸に私自身の手や足を当てながらパンツ一丁の身体をマッサージし、たまにエロい雰囲気になったり楽しく会話できたりするシステムは、短期間、11月から5月までの半年間、大いに私を魅了した。



「こういうものを"過去の遺灰"というべきか。"虚無への供物"というべきか。しかし歴史的文化遺産であることは間違いないですね」


当時も一緒にラブプラスへ通っていた親友へ名刺の束の写真を送るとこう返信がきた。


なるほど。言い得て妙だ。


こんな馬鹿げた物でも私の文化遺産であり過去の遺灰であり虚無への供物だ。



同時にそれを失ってしまったのだ。いまの私は。




「また行きたいですね」

「行きましょう」



しかしそもそも、ラブプラスはいまもあるのだろうか。