非モテSNSが流行したのはいまから何年前だろうか。
間違いなく私は大学生であったが、下は女子高生から上は金スマの再現VTRに出演する老人役者まで、まさにピンキリ・・・というか有象無象だった。
初めて公式オフ会に参加した時、すでに非モテSNSは流行ってしまっていて、新宿のロフトプラスワンの開場待ちでコマ劇場前に長蛇の列ができており、
それを待っているとどこかのテレビ局がカメラを持ってそれを撮影してきて、慌てて全員顔を隠したことを覚えている。
地上波の画面にモテない人間としてさらされることを本当に恐れていたあの頃、約束された匿名性に私たち参加者は運命を全振りしていたように思える。
ロフトプラスワンの中には非モテゆえに会話もままならない人向けに人見知り席があり、やはり重鎮常連のようなおじさん達が無言のままそこから動かず、かくいう私も人見知りなのでそこに座りたかったが「すみません、どいてください」すらも声をかけれず
黙って通常席のすみっこに座ったものだ。
まさにカルト的なイベントだった。
企画者で実業家のえがちゃんことエガミさんのコンテンツ力は抜群で、かつ手腕もすさまじく
第一回目の公式オフ会では田代まさしが来て恋愛トークをし、以降お騒がせ芸能人がきては恋愛について金言をくれた。
私が参加した会では薬物関係の犯罪で逮捕されたばかりで、頻繁に仕事のドタキャンで問題となっていたきこうでんみさが登壇する予定であったが、なんとドタキャン。
ドタキャンで問題になっていたゲストが本当にドタキャンをするという稀有な機会に遭遇した上、その穴埋めはえがちゃんの知り合いの本当にわけのわからないおばあさんのカラオケ演歌だったのだからすごい。
友達もできたし、彼女もできた。
出会いの場としても素晴らしコスパだったが、1年ほどその環境に身をおいていると、自称非モテで群れることが非常に気持ち悪くなってきて
またそれらを大切な友達・コミュニティとする虚しさに耐えられなくなった。
要は私には戻れる現実があったということだ。
何も言わずにコミュニティを離れた私に、友人たちは冗談でもなんでもなく本当に「裏切者!」と罵声を浴びせ、不埒ものとしてSNSで晒上げをしていた。
ちょっとしたことで昨日まで仲が良かった人間が簡単にリジェクトされ、排除された側は現実へと帰り、残った側は代々木公園で鬼ごっこをしたり山登りをしたりする。
その1年間はわずかな期間であったがめちゃくちゃ楽しかった。
けれどもまぎれもなく黒歴史であるし、そのころの自分は本当に気持ち悪くて嫌いだし、二度と戻りたくないと思う。
ツイッターで非モテオフ会を開く人や、それに参加する人をみた。
主催者は35歳まで恋愛経験がないのに結婚したとかなんとかで、恋愛指導する側にまわっているらしい。
正直なんの人なのかも影響力がある人なのかも全くわからない。
オフ会の内容はボードゲームだったり登山や脱出ゲームだったり、HUBやロックダウンで酒を飲んだりと、私が学生だった頃と時代も媒体も違うのにもかかわらずほぼ古の非モテと同じだった。
そしてすぐコミュニティができて、すぐ仲が悪くなるのも変わっていなかった。
やっぱりロクなもんじゃない。
イベントありきで有名人がくるならまだしも、出会いやコミュニティの形成だけのために非モテでオフを開いたら終わりだ。
非モテは非モテにアドバイスをもらってもなんの意味もないし、非モテを自称する一般人はめちゃくちゃくそだ。
そんなものすぐに崩壊してしまう。
もちろんなんの根拠もない個人的な意見だが。
ちなみにえがちゃんはぽっちゃりSNSも運営していた。
こちらはこちらでぽっちゃりとは名ばかりのガチなデブで埋め尽くされていたが、女性が多く、めちゃくちゃエロい関係になりやすかった。
私もガンガンやった。
そのせいで、高望みさえしなければなんとかなると思えるようになってしまい、何よりデブが好きになってしまった。
ツイッターの非モテオフ参加者は、いちど三桁体重の女性をガンガン口説いてみることだ。
結構フラれるよ。マジで。