イギリスにてチャールズ国王の戴冠式が行われた。
世界各国が見守る中で皇太子の呼び名で親しまれた新国王が冠を被る姿は、やはり年齢的に仕方ない話ではあるが老いてみえた。
しかしながらそれは世論的には決して歓迎されているものではないようだった。
多くのメディアがその原因を「エリザベス女王しか知らない若い世代は当然ながら新たなものに困惑している」と報じていたが、やはりチャールズ国王とイギリスを語る上でダイアナ元王妃の存在は欠かせないだろう。
1997年の夏、私は父に携帯ラジオを買ってほしいと頼んだ。
あの頃の私はまだ自我も発達しきれない小学生で、外出のたびに父がラジオをポケットに入れイヤホンで何かを聴いている姿をやたらカッコよく感じていた。
また、プロ野球や高校野球にも興味を深く持っていて、ラジオから流れる軽快な実況アナウンスに耳を傾けながら、試合の全貌を想像するのが大好きだった。
父に「欲しいものあるか?」と問われた私は、「携帯ラジオか漫画の三国志が全巻欲しい」と答えたのだった。
「三国志は全巻だと嵩張るからなあ」と言っていた父が、市川駅内のシャポーの本屋の前で「これあげるよ」と渡してくれたのが新品の携帯ラジオとイヤホンだった。
すごく興奮した私が、ラジオを手に取り父を見上げると、「聴いてみな、早速」とチャンネルをまわしてくれたのを覚えている。
「あ!きこえた!」
そうして私の耳に飛び込んできた最初の音声はプロ野球の試合でもなければ高校野球夏の甲子園大会でもなく、ダイアナ妃の事故と死去を伝えるニュースだった。
あの当時イギリス国内で絶大な人気を誇っていたダイアナ妃は、よく日本のテレビから流れるニュースにも姿が映っていた。
同時に小さい私には理解ができていなかったが、国王及び自身の不倫を公にした上で別居するロイヤルスキャンダルの渦中にあり、お騒がせ王妃として見る日本人も少なくなかったように思える。
なので私自身もダイアナを知っていた。
「なんかダイアナが死んだって言ってる」
「ダイアナってあのイギリスの?」
「多分」
「そんなわけないよ。ダイアナはまだ若いんだよ」
「でも事故にあったって言ってるよ」
「ほんと?ちょっと聴かせて」
そう言ってイヤホンを耳にあてた父が「うわ。本当だ」と驚いていたのを記憶している。
後に成長してあの事故がいかにとんでもない事件であって、それが何を意味するのかを学んだとき、私はやはりチャールズ皇太子とカミラ夫人を嫌悪した。
真実はわからないが、どうしても悲劇の引き金はこの二人によって引かれた印象が強く残った。
(余談だがパパラッチという職業はこの報道で初めて知ったし、数年後に行われたサッカーのフランスワールドカップでフーリガンという層を知り、今日現在に至るまでいずれも私は嫌悪している)
弱者救済の女神であったダイアナを王室から遠ざかるを得ない状況に追い込んだ2人、特にカミラ夫人への嫌悪感は酷く、あの死がこの2人を含めた王室による陰謀であると感じてしまうのもやむを得ない。
ファーイーストたる私ですらそう思うのだから、イギリス人の怒りは当然であろう。
カミラ夫人に至っては、最も嫌われている英国人とすら呼ばれている。
本日戴冠式。
以上を踏まえ、イギリス国民の胸にダイアナ妃が引っかかってしまうのは当然であろう。
そしてそれが支持率の低下を招いているのは間違いがないはずだ。
だが昨今のカミラ夫人は国家の繁栄はもちろんのこと、かつてダイアナがそうしていたように弱者救済に力を注いできた。
変えられない過去がある反面、変わっていける今
もあるということの何よりの証明なのではなかろうか。
そして新国王。
とにかく、イギリスがどう変わっていくのか。
第三者、いや第三国の人間として、見守っていこうと思っている。
だいぶ上からな言い方だけれども。
世界各国が見守る中で皇太子の呼び名で親しまれた新国王が冠を被る姿は、やはり年齢的に仕方ない話ではあるが老いてみえた。
しかしながらそれは世論的には決して歓迎されているものではないようだった。
多くのメディアがその原因を「エリザベス女王しか知らない若い世代は当然ながら新たなものに困惑している」と報じていたが、やはりチャールズ国王とイギリスを語る上でダイアナ元王妃の存在は欠かせないだろう。
1997年の夏、私は父に携帯ラジオを買ってほしいと頼んだ。
あの頃の私はまだ自我も発達しきれない小学生で、外出のたびに父がラジオをポケットに入れイヤホンで何かを聴いている姿をやたらカッコよく感じていた。
また、プロ野球や高校野球にも興味を深く持っていて、ラジオから流れる軽快な実況アナウンスに耳を傾けながら、試合の全貌を想像するのが大好きだった。
父に「欲しいものあるか?」と問われた私は、「携帯ラジオか漫画の三国志が全巻欲しい」と答えたのだった。
「三国志は全巻だと嵩張るからなあ」と言っていた父が、市川駅内のシャポーの本屋の前で「これあげるよ」と渡してくれたのが新品の携帯ラジオとイヤホンだった。
すごく興奮した私が、ラジオを手に取り父を見上げると、「聴いてみな、早速」とチャンネルをまわしてくれたのを覚えている。
「あ!きこえた!」
そうして私の耳に飛び込んできた最初の音声はプロ野球の試合でもなければ高校野球夏の甲子園大会でもなく、ダイアナ妃の事故と死去を伝えるニュースだった。
あの当時イギリス国内で絶大な人気を誇っていたダイアナ妃は、よく日本のテレビから流れるニュースにも姿が映っていた。
同時に小さい私には理解ができていなかったが、国王及び自身の不倫を公にした上で別居するロイヤルスキャンダルの渦中にあり、お騒がせ王妃として見る日本人も少なくなかったように思える。
なので私自身もダイアナを知っていた。
「なんかダイアナが死んだって言ってる」
「ダイアナってあのイギリスの?」
「多分」
「そんなわけないよ。ダイアナはまだ若いんだよ」
「でも事故にあったって言ってるよ」
「ほんと?ちょっと聴かせて」
そう言ってイヤホンを耳にあてた父が「うわ。本当だ」と驚いていたのを記憶している。
後に成長してあの事故がいかにとんでもない事件であって、それが何を意味するのかを学んだとき、私はやはりチャールズ皇太子とカミラ夫人を嫌悪した。
真実はわからないが、どうしても悲劇の引き金はこの二人によって引かれた印象が強く残った。
(余談だがパパラッチという職業はこの報道で初めて知ったし、数年後に行われたサッカーのフランスワールドカップでフーリガンという層を知り、今日現在に至るまでいずれも私は嫌悪している)
弱者救済の女神であったダイアナを王室から遠ざかるを得ない状況に追い込んだ2人、特にカミラ夫人への嫌悪感は酷く、あの死がこの2人を含めた王室による陰謀であると感じてしまうのもやむを得ない。
ファーイーストたる私ですらそう思うのだから、イギリス人の怒りは当然であろう。
カミラ夫人に至っては、最も嫌われている英国人とすら呼ばれている。
本日戴冠式。
以上を踏まえ、イギリス国民の胸にダイアナ妃が引っかかってしまうのは当然であろう。
そしてそれが支持率の低下を招いているのは間違いがないはずだ。
だが昨今のカミラ夫人は国家の繁栄はもちろんのこと、かつてダイアナがそうしていたように弱者救済に力を注いできた。
変えられない過去がある反面、変わっていける今
もあるということの何よりの証明なのではなかろうか。
そして新国王。
とにかく、イギリスがどう変わっていくのか。
第三者、いや第三国の人間として、見守っていこうと思っている。
だいぶ上からな言い方だけれども。