リルラリルハみたいな題名。
〇
友人のブログに”カラーバス効果”という見慣れないワードが記載されていた。
例えば頭に青色をイメージして町を歩くと、無意識に青色の服や車に目が行き情報が集まるといった効果のことを言うそうだ。
まるでカクテルパーティー効果じゃないか。
私が大好きなカクテルパーティー効果じゃないか。
亜種?カクパの亜種なんか?
そう思ってネットで両効果を検索してみると、どうやらカラバは視覚から情報を得るもので、カクパは聴覚から情報を得るもののようだ。
まあ、だからなんだという話なのだが。
〇
大学生の頃、高校2年生のアヤちゃんという子と友達になった。
アヤちゃんは私のことを”親のスネかじりの甘えん坊大学生”と認識しており、完全に見下してくる人だった。
「アヤちゃん、カクテルパーティー効果って知ってる?」
『知らない』
「たとえば町を歩いていて、色んな声や音が聞こえるでしょう?その中から自分に関係する言葉だけがやたら聞き取れちゃったりすることない?」
『ない』
「・・・そういう風に脳が聞き取ることがカクテルパーティー効果なんだよ」
『それって覚えておく必要ある?』
「ない」
『なんだお前』
思えばあの頃、大学生としてJKの知り合いがいることがステータスのようなものであって、こういうわけのわからない生意気な女の子でも、関係を繋ぎとめておく必要があったのだと思う。
「アヤちゃん、でも知らなくて良いことだらけだよ世の中は。俺は暇なんだ。暇だから知らなくていいことたくさん吸収しちゃうんだよ」
『私はお前と違ってちゃんと勉強して、良い大学入って良い就職するから』
「室井さん?」
『何が?』
「ほら。踊る大捜査線で。東京大学出の新城が東北大学出の室井さんに”あの時遊ばずに勉強していてよかった”って」
『そういうとこだよ。知らないから』
「アヤちゃんなら良い大学に入れるよ」
『お前よりはな』
それから2年。アヤちゃんは早稲田大学に入った。
【「アヤちゃん。早稲田入ったんでしょ?すごいね。おめでとう」】
【『ありがとう。お前みたいにFラン入ることにならなくてよかった』】
【「きついなあ。サークル何入るの?」】
【『決めてない』】
【「良いサークルがあるよ。スーパーフリーっていう」】
このやりとり以降彼女との連絡はなくなった。
彼女が大学生になったことで、大学生の私は必要となくなり、同時に彼女が大学生になったことで、私も彼女を必要としなくなってしまうのかもしれない。
〇
【『こないだ銀座の○○ビルにいた?』】
5年程経ち、アヤちゃんからラインがきた。
【「いたよ。そこで働いてるから」】
【『そうなんだ。なんか名前呼ばれてる会話が聞こえたから』】
カクテルパーティー効果やないか・・・
【「アヤちゃん元気?今度飲みにいこうよ」】
【『私お酒飲めないから』】
【「じゃあお茶しよう」】
【『忙しくて時間ない』】
【「じゃあブランド物のバッグ買ってあげようか?」】
【『いらなーい』】
【「アヤちゃん、もしかして俺のこと忘れられなかったのか?」】
【『いやまったく』】
だろうね。
なんでラインしてきたんだこいつは。
そう思いながらも懐かし相手からの連絡に私は少しうれしくなっていた。
昨日、そんなことを思い出して彼女にラインをしてみた。
6~7年近く振りのラインだ。
【「アヤちゃん。クロノスタシスって知ってる?」】
彼女からの返信は現段階でも無い。
それどころか、やはりと言うべきか、既読にもなっていない。
彼女との関係は完全に終わったのだろう。それを知るにはあまりにも遅すぎたのかもしれない。
出会った当初から、考えてみれば知り合い以下の他人だったのだから。
それでもしっかりと自分の中で決着を身勝手につけようと、既読の無いラインに追撃を送った。
【「時計の針が止まって見える現象のことだよ」】
まあ関係ないよね、こんな知識。
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友人のブログに”カラーバス効果”という見慣れないワードが記載されていた。
例えば頭に青色をイメージして町を歩くと、無意識に青色の服や車に目が行き情報が集まるといった効果のことを言うそうだ。
まるでカクテルパーティー効果じゃないか。
私が大好きなカクテルパーティー効果じゃないか。
亜種?カクパの亜種なんか?
そう思ってネットで両効果を検索してみると、どうやらカラバは視覚から情報を得るもので、カクパは聴覚から情報を得るもののようだ。
まあ、だからなんだという話なのだが。
〇
大学生の頃、高校2年生のアヤちゃんという子と友達になった。
アヤちゃんは私のことを”親のスネかじりの甘えん坊大学生”と認識しており、完全に見下してくる人だった。
「アヤちゃん、カクテルパーティー効果って知ってる?」
『知らない』
「たとえば町を歩いていて、色んな声や音が聞こえるでしょう?その中から自分に関係する言葉だけがやたら聞き取れちゃったりすることない?」
『ない』
「・・・そういう風に脳が聞き取ることがカクテルパーティー効果なんだよ」
『それって覚えておく必要ある?』
「ない」
『なんだお前』
思えばあの頃、大学生としてJKの知り合いがいることがステータスのようなものであって、こういうわけのわからない生意気な女の子でも、関係を繋ぎとめておく必要があったのだと思う。
「アヤちゃん、でも知らなくて良いことだらけだよ世の中は。俺は暇なんだ。暇だから知らなくていいことたくさん吸収しちゃうんだよ」
『私はお前と違ってちゃんと勉強して、良い大学入って良い就職するから』
「室井さん?」
『何が?』
「ほら。踊る大捜査線で。東京大学出の新城が東北大学出の室井さんに”あの時遊ばずに勉強していてよかった”って」
『そういうとこだよ。知らないから』
「アヤちゃんなら良い大学に入れるよ」
『お前よりはな』
それから2年。アヤちゃんは早稲田大学に入った。
【「アヤちゃん。早稲田入ったんでしょ?すごいね。おめでとう」】
【『ありがとう。お前みたいにFラン入ることにならなくてよかった』】
【「きついなあ。サークル何入るの?」】
【『決めてない』】
【「良いサークルがあるよ。スーパーフリーっていう」】
このやりとり以降彼女との連絡はなくなった。
彼女が大学生になったことで、大学生の私は必要となくなり、同時に彼女が大学生になったことで、私も彼女を必要としなくなってしまうのかもしれない。
〇
【『こないだ銀座の○○ビルにいた?』】
5年程経ち、アヤちゃんからラインがきた。
【「いたよ。そこで働いてるから」】
【『そうなんだ。なんか名前呼ばれてる会話が聞こえたから』】
カクテルパーティー効果やないか・・・
【「アヤちゃん元気?今度飲みにいこうよ」】
【『私お酒飲めないから』】
【「じゃあお茶しよう」】
【『忙しくて時間ない』】
【「じゃあブランド物のバッグ買ってあげようか?」】
【『いらなーい』】
【「アヤちゃん、もしかして俺のこと忘れられなかったのか?」】
【『いやまったく』】
だろうね。
なんでラインしてきたんだこいつは。
そう思いながらも懐かし相手からの連絡に私は少しうれしくなっていた。
昨日、そんなことを思い出して彼女にラインをしてみた。
6~7年近く振りのラインだ。
【「アヤちゃん。クロノスタシスって知ってる?」】
彼女からの返信は現段階でも無い。
それどころか、やはりと言うべきか、既読にもなっていない。
彼女との関係は完全に終わったのだろう。それを知るにはあまりにも遅すぎたのかもしれない。
出会った当初から、考えてみれば知り合い以下の他人だったのだから。
それでもしっかりと自分の中で決着を身勝手につけようと、既読の無いラインに追撃を送った。
【「時計の針が止まって見える現象のことだよ」】
まあ関係ないよね、こんな知識。