録画積みしていたバラエティ番組を一気に観て消化していたところ、とある番組でアルコアンドピースの平子が「M-1グランプリの一回戦なんてちゃんと声が審査員まで届けば突破できるものでしょ?」と言っていた。

それを受けてすぐに売れていない一回戦脱落常連芸人が「いやいや、厳正な厳しい審査なんですよ?」と言い返すが、周りが「おい一回戦!」「黙れ一回戦!」と彼らを野次る。


どこにでもあるようなお笑いシーンでよく目にする光景であったが、これが私には地獄でゲロを吐きそうになった。



何を隠そうこの私。

2022年段階で3年連続一回戦敗退…。



それはたしかに私たちはアマチュアであり、趣味で参加している程度なので本職芸人さん達と一緒にするのは失礼かもしれない。

けれども結果だけみれば3年連続一回戦敗退…。


平子の言う、審査員まで声が届いていない連中の1人が私なのだ。



昨年はひどかった。

3度目の正直と意気込んで自身最高のネタができ、素人とは思えない稽古量で本番に挑んだものの、まさかまさかの最序盤で相方がネタをトバシ惨敗。


あまりの屈辱と苛立ちで相方のラインをブロックする事態にまでなってしまった。


けれどもいまにして思えば、あそこで相方がネタをとばそうがとばすまいが、一回戦敗退は確定事項だっただろう。


なぜなら見返してしまえば、あの時は最高だと思った自身のネタは、全く面白くないのだから。


相方はセンス芸人を気取っている。


正直彼のセンスを私は全く理解できない、というか面白くもなんともないので不快さは増すばかりだ。

毎回毎回彼はネタを頼んでもいないのに考えてくるが、それはたとえばフハハハ蝋人形にしてやる!とひたすら言いながら井森美幸ダンスを踊るネタであったり、なんで寝坊したかわからないから再現してみたら関係ないところで男なのにブラジャーをしているネタだったり、ゴリラの蘊蓄を披露するネタだったりととにかく私は面白くない。


挙句、滑舌が絶望的に悪いため長いセリフが言えず、必然的に説明が多くなるツッコミを私がやらなければならない。


何より彼のブレーンであるとされる謎のお笑いマニアの女友達とやらがやたらネタに余計な手入れをしてくるからストレスは蓄積されるばかりだ。

突っ込まないツッコミが新しいとかなんとかそのバカが言ったせいで、相方が作ったネタから私のセリフが消えたこともあった。


「これ俺喋らないとただただあなたがフハハハ蝋人形にしてやろうかって言いながら井森美幸ダンスを踊るだけの意味わからないものになっちゃうけど」

「ただ横にいるだけなのが新しいんだよ。何この人みたいな。小林麻耶の海老蔵詰め動画で旦那が横で黙ってるの面白かったじゃん?まあ細かい説明は俺が言うから」

「だからその説明がお前が滑舌悪くてできねえから俺がツッコミやってんだろうが!!!」


こういうケンカばかりである。





前述の通り、昨年私たちは惨敗している。

それをうけてもういよいよ俺らって多分そもそも面白くないんだよ、となってしまい、相方とは「来年はもうでなくていいんじゃないか…」となってしまっている。


実際そのつもりでいたが、3年間のルーチンとは恐ろしい。
つい癖でいつもの時期に、また新ネタを書いてしまった。


恐ろしい話だ。



去年M-1グランプリの決勝をテレビで観ながら相方に「今年が、いや今年も終わったな」とショートメールをした。


これは私としては「来年出ないって言ったけど、実際どうする?」と繋げる匂わせメールであり、境遇とリアルタイムでM-1を観ているという状況を踏まえればそう理解できるはずだ。


しかし、相方からきた返事は「そりゃ終わらない今年なんてないでしょ」と本当にクソみたいなものだったので、心底ウンザリしてそれから連絡をやめてしまった。



「ネタできましたけど、今年どうします?」


そう聞けばすぐに「じゃあ俺も考えておくから打合せしよ」と彼は言うだろう。



しかし今回に至ってはそれがどうしても言いたくないのだ。



相方よ。これは愚痴であり願いだ。


いまさら相方を変えてどうこうはそれは違うので俺はあなたとしか出ないよ。

あとは任せるよ。お前が連絡してこい。

お前が俺に「今年どうする?」って聞いてこい。

そしたら俺は即答で「出ましょう」って言うよ。

今年こそ2回戦行きましょうって言うよ。


ってか元からお前がM-1出たいって誘ったんじゃねえか!

そういうとこ、マジで嫌だわ。