アカデミー賞の授賞式が一昨日行われた。
 
その花形とも言える主演男優賞をブレンダンフレイザーが受賞。
会場は実に6分間ものスタンディングオベーションに包まれた。
 
映画を自分の意思で見るようになってからというもの、地上波の金曜ロードショーや日曜洋画劇場で繰り返し放映されるハムナプトラシリーズが私は大好きだった。
 
トレジャーハンティングと言えば!問われると、私にとってはインディジョーンズのハリソンフォードではなく、ハムナプトラのリック・オコーネルであり、ブレンダンフレイザーだった。
 
特に1の終盤で作中何度も裏切ったベニーをリックが助けると見せかけて、伸ばした手を掴もうとする瞬間に引っ込める痛烈な意趣返しのシーンは最高である。
 
そんなブレンダンを観なくなってから久しい。
 
たしかセンターオブジアースでその姿を見てから、めっきりである。
 
やはり有名な話で、ゴールデングローブ賞の会長から性的なハラスメントを受け、それがきっかけで仕事が少なくなり(たしかブレンダン側の一方的なボイコットとネガティブな報道がされた)、精神を病み家族も失ってしまったという。
 
加えて過度なアクションで身体も傷めてしまっていたとのことで、彼は私生活にも支障をきたし、家族とも離婚に至っている。

心の病を抱え、全てを失った状態はどれだけ厳しいものだっただろうか。


「まるで私は海底を探査しているようで、水面に向かう気泡を眺めているようでした」


前述の6分ものスタンディンオベーションの中、顔をクシャクシャにして震えながらオスカー像を手にするブレンダンの姿は、テレビやPCの向こう側の観衆の心を揺さぶる。


「私にクリエイティブな命綱をつけてくれて、船に乗せてくれた」


スピーチの冒頭で語ったこの言葉こそが、彼の現在であり、また、感謝の集大成のように思える。




我々も考える。


いま現在、自身がおかれている場所が、どん底であるように感じることが多くある。

耐えられないと苦しむ瞬間が、何度もある。

しかし、生きていく以上、そのどん底は続いてしまう。

けれどもいつか必ず、それは突然、目の前に蜘蛛の糸が垂らされる時が、必ずある。

そこが底ならば、必ず終わりがあり、糸は垂らされる。


それを待ち望む。


この待ち望み続けることこそが、きっと、生きていくということになるのではないだろうか。



ブレンダン・フレイザー氏の受賞を、心より祝福致してます。



自分のことのように嬉しいです!