人生で他人がなかなか体験できないことが皆さんにもひとつやふたつあるだろうか。
例えば臨死体験。
例えば始球式。
例えば宝くじ当選。
いずれも稀有だ。
私にもそういうことがあった。
ここから先、オチもなければ面白味も無い話を記す。
大学生の頃の話だ。
私は高校時代からキャンパスライフに憧れおり、なかでも自主製作の映画をサークルで撮影する、みたいなことをとにかくやってみたかった。
けれども私が入学した大学は地方の無名大学であり、キラキラした学生生活はもちろん、自主映画撮るサークルなど存在しなかった。
その時、高校の頃仲の良かった有人が「俺の大学映画サークルあるよ。入れば?」と誘ってくれた。
すごくうれしかった。
だが有人の大学はとにかく高学歴で有名な大学。
その中に私のような偏差値の高くない無名の大学に行ってる男が外部から入ってくるのは相当痛いのではないかと思い、私はその話を断ろうとした。
しかし彼は言ったのだ。
「だったらうちの大学生だって嘘ついて参加すればいいじゃん。適当に話合わせられるようにフォローするから大丈夫だよ」
こうして私はそのサークルに所属することになった。
蓋を開けてみれば私が別の大学であることがバレることもなく、その上サークルのメンバーはすごく良い人たちだった・
生意気にキラキラしたキャンパスライフを楽しんだわけだ。
それから1年半くらいが経ってからのこと。
私を誘ってくれた友人が死んだ。
いまになってもなぜ死んだのかわからない。
いきなり訃報がまわってきた。
家で一人の時死んでいたそうだ。
誰が発見したのか、死因はなんなのかもわからぬままただ亡くなったという話と通夜、告別式の日取りがちょっとしたら流れてくるだけだった。
自殺にしても自殺する理由が見当たらない。
そう思っていたのは彼を知る他の者も同感だった。
私は正直親友と言ってもいいほど仲が良かった有人だったので本当にショックだった。
それ故不謹慎にも通夜も告別式も行くのが嫌になってしまった。結局それきりだ。
もちろん映画サークルにも以降顔を出していない。
もともと別の大学だったわけだから誰かに辞意を告げるのも面倒で、そのままフェードアウトしてしまった。
それからもう10年近く経ったある日。
仕事の外回り中に街で偶然、当時の映画サークルのアイドル的な女の子を見かけた。
当時からすごくかわいい子であり何かハプニングで仲良くなれればいいなと思っていた子だったのですぐにわかった。
しかしもう10年前。向こうも忘れてるだろうと思いつつも、その時恥ずかしながらとてもムラムラしていたこともあって、思い切って声を掛けてみた。
すると。
彼女は私の顔を見た刹那、顔色が突然悪くなった。
そして『キャーーーーーー!!!』と大声で悲鳴をあげて、走り去っていった。
正直驚いた。突然大声をあげられたので。
逆に私も怖くなり慌ててその場を離れたほどだ。
その後少し冷静になって考えてみた。
え、俺そんなにキモい???
もう犯罪者というか殺人犯にでもあったかのような悲鳴だった。ショックというよりは困惑だ。
ええ。そんなに・・・。
ショックをうけたまま家に帰り、そのまま眠った。
その翌日。
当時のサークルで例の死んだ友人以外で連絡用に電話番号を交換していたメンバーより約10年振りくらいにショートメールがきた。
【ライン教えて】
もしや私が変質者的にあの女に声かけたのが拡散されてしまったのか・・・そう思いながら彼からのラインを待った。
しばらくして彼からラインがきた。
【今までどこにいた?】
何その質問。
いきなり何?と思いつつも【普通に生活してたよ】と返信をした。
【本物?】
【いやいや。そっちからラインきいてきてなりすましなわけないでしょ】
【うん。っていうかお前はほんとは誰なの?】
え?どういう遊び??
何これ?悪ノリ?酔ってる?
ちょっと鬱陶しかったので既読スルーをした。
すると追撃がきた。
【お前、〇〇(死んだ友人)の死になんかかかわってる?】
どういうこと??
私はくわしく尋ねた。
要するだ。
①友人の突然死は死因他詳細が明かされていない⇒意図的に隠されてる?
②謎の死を皮切りに、私が姿を消した
③私がとっているとされた講義の誰もが、私の存在を知らなかった
④私という人間が、大学には存在していなかった
以上の4点から、私がなんらかの陰謀を以て友人の死にかかわっている、あるいは張本人なのではないかと推測したそうだ。
【いやいや。なんでだよ。飛躍しすぎでしょ】
【俺達聞いたんだよ。学生課に。お前が全然来なくなったし。心配になって。仲良かったからお前もショック受けて引き籠ってるんじゃないかって】
【熱がさめちゃっただけだよ】
【そしたら学生課の人、「そんな生徒この大学にはいない」って言うんだよ】
(そりゃそうだよ!俺その大学の生徒じゃないもん)
【誰もお前のこと知らないし】
(そりゃそうだよ!俺他校の学生なんだから)
【ほんと結局お前は誰なの?なんかしたのあの時】
ああ。なるほどね。だからあの女は悲鳴あげて逃げたのか。
それはそうだ。昨日まで確かにいたはずなのに元から存在していなかった男が突然現れたんだから。
そりゃビビるわ。
そしてそのまま私はラインをブロックした。
どうだ。急に返答がなくなって。怖いだろう。
なんらかの核心にふれてしまったみたいで怖いだろう。
という「都市伝説化されてしまった」という稀有な体験でした。
例えば臨死体験。
例えば始球式。
例えば宝くじ当選。
いずれも稀有だ。
私にもそういうことがあった。
ここから先、オチもなければ面白味も無い話を記す。
大学生の頃の話だ。
私は高校時代からキャンパスライフに憧れおり、なかでも自主製作の映画をサークルで撮影する、みたいなことをとにかくやってみたかった。
けれども私が入学した大学は地方の無名大学であり、キラキラした学生生活はもちろん、自主映画撮るサークルなど存在しなかった。
その時、高校の頃仲の良かった有人が「俺の大学映画サークルあるよ。入れば?」と誘ってくれた。
すごくうれしかった。
だが有人の大学はとにかく高学歴で有名な大学。
その中に私のような偏差値の高くない無名の大学に行ってる男が外部から入ってくるのは相当痛いのではないかと思い、私はその話を断ろうとした。
しかし彼は言ったのだ。
「だったらうちの大学生だって嘘ついて参加すればいいじゃん。適当に話合わせられるようにフォローするから大丈夫だよ」
こうして私はそのサークルに所属することになった。
蓋を開けてみれば私が別の大学であることがバレることもなく、その上サークルのメンバーはすごく良い人たちだった・
生意気にキラキラしたキャンパスライフを楽しんだわけだ。
それから1年半くらいが経ってからのこと。
私を誘ってくれた友人が死んだ。
いまになってもなぜ死んだのかわからない。
いきなり訃報がまわってきた。
家で一人の時死んでいたそうだ。
誰が発見したのか、死因はなんなのかもわからぬままただ亡くなったという話と通夜、告別式の日取りがちょっとしたら流れてくるだけだった。
自殺にしても自殺する理由が見当たらない。
そう思っていたのは彼を知る他の者も同感だった。
私は正直親友と言ってもいいほど仲が良かった有人だったので本当にショックだった。
それ故不謹慎にも通夜も告別式も行くのが嫌になってしまった。結局それきりだ。
もちろん映画サークルにも以降顔を出していない。
もともと別の大学だったわけだから誰かに辞意を告げるのも面倒で、そのままフェードアウトしてしまった。
それからもう10年近く経ったある日。
仕事の外回り中に街で偶然、当時の映画サークルのアイドル的な女の子を見かけた。
当時からすごくかわいい子であり何かハプニングで仲良くなれればいいなと思っていた子だったのですぐにわかった。
しかしもう10年前。向こうも忘れてるだろうと思いつつも、その時恥ずかしながらとてもムラムラしていたこともあって、思い切って声を掛けてみた。
すると。
彼女は私の顔を見た刹那、顔色が突然悪くなった。
そして『キャーーーーーー!!!』と大声で悲鳴をあげて、走り去っていった。
正直驚いた。突然大声をあげられたので。
逆に私も怖くなり慌ててその場を離れたほどだ。
その後少し冷静になって考えてみた。
え、俺そんなにキモい???
もう犯罪者というか殺人犯にでもあったかのような悲鳴だった。ショックというよりは困惑だ。
ええ。そんなに・・・。
ショックをうけたまま家に帰り、そのまま眠った。
その翌日。
当時のサークルで例の死んだ友人以外で連絡用に電話番号を交換していたメンバーより約10年振りくらいにショートメールがきた。
【ライン教えて】
もしや私が変質者的にあの女に声かけたのが拡散されてしまったのか・・・そう思いながら彼からのラインを待った。
しばらくして彼からラインがきた。
【今までどこにいた?】
何その質問。
いきなり何?と思いつつも【普通に生活してたよ】と返信をした。
【本物?】
【いやいや。そっちからラインきいてきてなりすましなわけないでしょ】
【うん。っていうかお前はほんとは誰なの?】
え?どういう遊び??
何これ?悪ノリ?酔ってる?
ちょっと鬱陶しかったので既読スルーをした。
すると追撃がきた。
【お前、〇〇(死んだ友人)の死になんかかかわってる?】
どういうこと??
私はくわしく尋ねた。
要するだ。
①友人の突然死は死因他詳細が明かされていない⇒意図的に隠されてる?
②謎の死を皮切りに、私が姿を消した
③私がとっているとされた講義の誰もが、私の存在を知らなかった
④私という人間が、大学には存在していなかった
以上の4点から、私がなんらかの陰謀を以て友人の死にかかわっている、あるいは張本人なのではないかと推測したそうだ。
【いやいや。なんでだよ。飛躍しすぎでしょ】
【俺達聞いたんだよ。学生課に。お前が全然来なくなったし。心配になって。仲良かったからお前もショック受けて引き籠ってるんじゃないかって】
【熱がさめちゃっただけだよ】
【そしたら学生課の人、「そんな生徒この大学にはいない」って言うんだよ】
(そりゃそうだよ!俺その大学の生徒じゃないもん)
【誰もお前のこと知らないし】
(そりゃそうだよ!俺他校の学生なんだから)
【ほんと結局お前は誰なの?なんかしたのあの時】
ああ。なるほどね。だからあの女は悲鳴あげて逃げたのか。
それはそうだ。昨日まで確かにいたはずなのに元から存在していなかった男が突然現れたんだから。
そりゃビビるわ。
そしてそのまま私はラインをブロックした。
どうだ。急に返答がなくなって。怖いだろう。
なんらかの核心にふれてしまったみたいで怖いだろう。
という「都市伝説化されてしまった」という稀有な体験でした。