「悪いけど代わりに行ってくれ」と頼まれ、立会で訪れた繁華街の飲食店ビル。
「結構びっくりする場所にあるから」と言われ、身構えて現地に到着するとそこは思い切りラブホテルの前だった。
それもなんとなくラブホですー!というラブホではなく、これこれ、この下品さこそラブホよな!というラブホテルの前だった。
あらあらあら…
当然中は見えないが目の前が出入り口のため、入店するカップルも退店するカップルも普通に見えてしまう。
いいなあ…
雨風の中の立会。
ウンザリしていた私は出入りする客を羨ましく眺めていた。
大抵はデリヘルだろう。
そそくさと男は単独でホテル内へ消えていき、しばらくするとちょっと派手めなお姉さんがこちらも単独でホテル内へ入っていく。
退店の際は入り口手前でお互いにぺこぺこと会釈をして、それぞれ別々の方向へ歩いていく。
いいなあー。
俺もデリヘルで遊んでたいなあー。
そんなことを考えながら虚無に囚われていると、私をさらに羨ましがらせる光景が目の前に広がった。
スーツ同士の男女カップルだ。
お互いクスリともせずに、無言でスーツのまま同じ方向へ消えていった。
あれは社内恋愛なのだろうか。同僚っぽい感じはした。
しかしイチャイチャするのではなく、どこかサバサバと、「私達はお互いタイミングのあったときに割り切って楽しんでいる」といった雰囲気だ。
いいなあ!昼間っから!
なんて言って会社から外出してきてんだろう。
「外回り行ってきまーす」って言いながらホテル前で待ち合わせすんのかな。
もうそれ逢瀬じゃん!逢瀬。
いいなー。
思い返してみれば私は会社の同僚とそういう関係にはなったことがない。
大学のときから「3年は社内恋愛するな」と言われてきたし、新卒で入った会社はそもそも女性数が圧倒的に少なく、余すことなく全員ブスだった。
たしかに社内で付き合っている奴らはいたが、それはどちらかというとなかなか不便そうに思えた。
『今度一緒にワインでも飲みましょう』
24歳の私にそう声を掛けたのは同じ社内で違う部署の赤澤さんだった。
赤澤さんはその時32歳で、歳はだいぶ離れていたが綺麗だった。
しかしこの人は社内の多くの人にヤられてしまっているで有名だった。
どういうつもりで私にワイン飲みに行こうと誘っているのかはわからないが、とにかく社内の多くの人とヤッているということで、「まあそのうち」と素っ気ない返事をし、この話は消滅することとなった。
何年か後に、中途で入社してきたイキリ散らしおじさんが、入社するやいなや赤澤さんと結婚をした。
「どうも彼女、俺のことがタイプだったみたいでさ、"一緒にワイン飲みにいきませんか?"って誘われたのがきっかけだな」
まんまとじゃねえか。
イキリ散らしおじさんがこれでもかとモテるアピールをしていたが、肝心の嫁はイキリ散らしおじさんの部署のほとんどの上席陣とやっていた。
「なあ、赤澤って歩き方変だろ?あれは無茶苦茶いままでバックで突かれてきたからだぞ」
なんて下品な…低民度の底じゃねえか…。
この日繁華街のラブホから出てきたカップルも、同じようなことを言われているのだろうか。
でもいいなあ。社内恋愛。憧れるよ。赤澤さんは嫌だけど。
そんなことをずっーと考えていた結果、立会が終わっていることに私は気付かず、施錠された部屋に閉じ込められ、アルソックに救出されたのであった。
「結構びっくりする場所にあるから」と言われ、身構えて現地に到着するとそこは思い切りラブホテルの前だった。
それもなんとなくラブホですー!というラブホではなく、これこれ、この下品さこそラブホよな!というラブホテルの前だった。
あらあらあら…
当然中は見えないが目の前が出入り口のため、入店するカップルも退店するカップルも普通に見えてしまう。
いいなあ…
雨風の中の立会。
ウンザリしていた私は出入りする客を羨ましく眺めていた。
大抵はデリヘルだろう。
そそくさと男は単独でホテル内へ消えていき、しばらくするとちょっと派手めなお姉さんがこちらも単独でホテル内へ入っていく。
退店の際は入り口手前でお互いにぺこぺこと会釈をして、それぞれ別々の方向へ歩いていく。
いいなあー。
俺もデリヘルで遊んでたいなあー。
そんなことを考えながら虚無に囚われていると、私をさらに羨ましがらせる光景が目の前に広がった。
スーツ同士の男女カップルだ。
お互いクスリともせずに、無言でスーツのまま同じ方向へ消えていった。
あれは社内恋愛なのだろうか。同僚っぽい感じはした。
しかしイチャイチャするのではなく、どこかサバサバと、「私達はお互いタイミングのあったときに割り切って楽しんでいる」といった雰囲気だ。
いいなあ!昼間っから!
なんて言って会社から外出してきてんだろう。
「外回り行ってきまーす」って言いながらホテル前で待ち合わせすんのかな。
もうそれ逢瀬じゃん!逢瀬。
いいなー。
思い返してみれば私は会社の同僚とそういう関係にはなったことがない。
大学のときから「3年は社内恋愛するな」と言われてきたし、新卒で入った会社はそもそも女性数が圧倒的に少なく、余すことなく全員ブスだった。
たしかに社内で付き合っている奴らはいたが、それはどちらかというとなかなか不便そうに思えた。
『今度一緒にワインでも飲みましょう』
24歳の私にそう声を掛けたのは同じ社内で違う部署の赤澤さんだった。
赤澤さんはその時32歳で、歳はだいぶ離れていたが綺麗だった。
しかしこの人は社内の多くの人にヤられてしまっているで有名だった。
どういうつもりで私にワイン飲みに行こうと誘っているのかはわからないが、とにかく社内の多くの人とヤッているということで、「まあそのうち」と素っ気ない返事をし、この話は消滅することとなった。
何年か後に、中途で入社してきたイキリ散らしおじさんが、入社するやいなや赤澤さんと結婚をした。
「どうも彼女、俺のことがタイプだったみたいでさ、"一緒にワイン飲みにいきませんか?"って誘われたのがきっかけだな」
まんまとじゃねえか。
イキリ散らしおじさんがこれでもかとモテるアピールをしていたが、肝心の嫁はイキリ散らしおじさんの部署のほとんどの上席陣とやっていた。
「なあ、赤澤って歩き方変だろ?あれは無茶苦茶いままでバックで突かれてきたからだぞ」
なんて下品な…低民度の底じゃねえか…。
この日繁華街のラブホから出てきたカップルも、同じようなことを言われているのだろうか。
でもいいなあ。社内恋愛。憧れるよ。赤澤さんは嫌だけど。
そんなことをずっーと考えていた結果、立会が終わっていることに私は気付かず、施錠された部屋に閉じ込められ、アルソックに救出されたのであった。