小学3年生の時、給食で出た稲荷寿司が異常なほど不味く、気分が悪くなり嘔吐してからというもの稲荷寿司を一切拒否する人生を歩んできた。

あの頃の私はひどい偏食であり、好き嫌いが本当に酷く、よく両親を悩ませていたように思う。

担任教師は配膳によそった物は必ず残さず食べること、というルールを運用していたため、嫌いな食べ物に関してはそのまま触れることなく小学生時代は通過することができた。


中学生になると体育会系の部活に入ったので好き嫌いなどしのごの言ってられなくなり、ある程度の苦手を克服したが、どうしても稲荷寿司だけは手をつけられなかった。

そもそも臭いも苦手な上、味もダメ。加えて嘔吐したトラウマも加わり、これはもう無理だと勝手に判断していた。


けれども先日、客先のご厚意でお昼ご飯をご馳走になったところ、その人の手作りという稲荷寿司が登場した。


苦手な上に手作り…


地獄のような状況ではあったが、これがご厚意な上、立場として相手のほうが上な以上、この稲荷寿司は食べなくてはならない。


意を決し、私は四半世紀ぶりに稲荷寿司を口にした。




…吐くほど不味かった。



この客が悪いとかではない。もう無理なのだ。

一瞬にしてあの時の臭いや味が広がり、脳裏には嘔吐の記憶が蘇る。

幸い一緒に出された天ぷらそばがあったため、なんとか蕎麦つゆと水で丸々飲み込むことができた。


帰り道には思わず泣いてしまった。


不味すぎる…ごめんなさい。作ってくれたのに。同行者は美味しいって言ってたので美味しいんだと思います。


僕は稲荷寿司がほんとダメなんです。




どうでもいいが私はチョコレートも苦手だ。


稲荷寿司ほどではないがかなり苦手だ。


これは学生時代にバレンタインでチョコレートをもらいすぎ、それを食べまくったので完全に飽きてウンザリしてしまった…というストーリーを用意していたがそんなことはなく、ただただ嫌な思い出があるからだ。



大学時代、猛暑の中友達数人とドライブに出掛けたところ、内1人がズボンの後ろポケットにマーブルチョコを入れっぱなしにしているのを忘れ、気がついたときには溶けたマーブルチョコがグロテスク極まりない、それこそウンコよりグロくそいつのズボンにべったりついているのを見たからだ。


万が一私がハリウッドスターになったとしても、どうかチョコと稲荷寿司の差し入れだけはご遠慮願いたい。