喉の痛みに不快感を抱いていると、そのうちにみるみる熱が上がってしまった。

これはまずいと思い、発熱相談センターに相談の上、近くの病院に何件か連絡をいれたものの受診不可。


明けて本日、体調が戻らなかったため届いた抗原検査キットで調査したところ見事に陽性。

受診した病院でも陽性を言い渡されたことでついに私もコロナ陽性者となってしまった。



熱はあるものの解熱剤が効きやすい体質のためか、そこまでしんどさは感じてはいないもののショックはショックである。



9時30分に予約した病院は、入口の外で30分待たされ、中に入って隔離されてからさらに20分。そのあと抗原検査やらなんやらをやって、実に2時間半近くもかかってしまった。


先に述べた通り私はそこまで体調が悪くなかったのでよかったが、外で待たされていた別の人はもう露骨に具合が悪そうだったし、初めて目にする発熱外来の患者たちの光景は地獄そのものだった。


待たされてイライラするどころではなく、ぐったりとした陽性者達を問診していく医師をみて、ああこれが医療の逼迫かと感じざるをえない。


そんなぐったりとしている人達の中で、1人の爺さんが傘立てをガサガサゴソゴソと漁っていた。


何をしているのかとしばらく注目していると、その爺さんはあろうことか私の傘を手に取り、外へ出て行こうとしている。


「それ僕の傘ですけど」と爺さんに向かい言うと、無言で私の傘を傘立てに戻し、別の傘をつかみまた外へ出ようとした。


今度は別の女性が『それは私の傘ですけど』と怒った。



爺さんはまたも無言で傘を戻し、手ぶらのまま雨の中外へ出ていった。


んもー。民度…


これだけみんな苦しんでるし医療も逼迫している中で平然と泥棒しようとするんじゃないよ。


まさに地獄。


無駄だ。ここはもとから楽しい地獄だ。
生まれ落ちた時から出口はないんだ。