数日前に心の不調からnobodyknowsの1stTAKEを聴いて涙を流してしまってからというもの、私は癒しを求めている。
蓄積に蓄積を重ねたストレスはついに私の日常にまで浸食を開始したので、早急に対処する必要があった。
よって私は風俗嬢による回春を受ける必要があった。
電車の乗換以外ですっかり訪れることのなかった新宿の地は、色々と建物や店が入れ替わったりしていたが、
触感としては特に大きな変化はなかったように思える。
数年前までお世話になっていた風俗店を訪れると、いままで感じの良かった男性店員はいなくなっており、
なんとも要領の悪いおっさんが受付の対応をしていた。
時刻は16:30。
17時からは金額帯が変わり、同じコースを選んでも3,000円も差が出てしまうので、この時間に間に合ったことは大きい。
要領の悪いオッサンが「予約はありますか?フリーですか?」と尋ねたので「フリーです」と伝えると、
「少々お待ちください。順番に受付します」と彼は言い、私は待合室に通された。
受付が済んでない状態で待合室に通されることは少ないため、私は一抹の不安を覚えたが、座席で黙って待つことにした。
しばらくすると予約客が2人訪れ、受付を済ませ、待合室で時間をつぶす間もなくすぐに案内されていった。
ああ。予約客優先なんだなと思いながらまたしばらく待っていると今度は「フリーです」という客が現れた。
受付のおじさんは「何分コースですか?」と尋ね、待合室を経ずにその客はすぐにご案内となった。
時刻は17:10。もう40分近く待たされていたが、一向に私が受付される気配がない。
それどころかあとから来たフリー客が案内までされている。
意を決して私は再び受付のオッサンを訪ねた。
「すみません。まだ受付されてないのですが」
「ご予約ですか?フリーですか?」
いやいや。それはさっききいただろうと言いたかったがそれを私はぐっとこらえた。
「フリーです。」
「いまのお時間ですと19,000円になります」
はあ?なんで16:30にきて40分待たされて加金までされてんだよ。
さすがに私は彼に怒った。
「いやいや。僕は40分前にきたのにあなたに待たされたんですよ」
「しかし受付した時間なので」
「いやいや、順番にご案内しますって言ったのはあなたじゃないですか。僕の後にきた客が先に受付うけたのはなんでですか?」
「そんなことありません」
「いやいや。見てたから。案内される瞬間みてたから」
「申し訳ありません」
「この場合お金はどうなるのですか?」
「それではこういうのはどうでしょう。私のおすすめの女の子をつけますので、19,000円お支払ください」
「なんでだよ!嫌です。3,000円引いてください」
「だめです」
「ホームページみました」
「はい。1,000円引きになります」
「それは通じるのかよ」
もうほとんど漫才みたいになっていた。
「もういいです。帰ります」
「お客様。私に地チャンスをください」
「いやどのモチベで言ってるんだよ」
ほぼ私は怒鳴っていた。
結局この日、時間だけが無駄になってしまった。
心の変調は未だ改善されない。
むしろ悪化してしまった。
もうあとは、死を待つばかりだ。