知人女性の浮気が旦那さんに発覚してしまったという話を聞いた。
なんでも連日のように外出を繰り返していたところ、不審に思った旦那さんが興信所に依頼し調査。
犯行が発覚してしまったという。
『世間体として、女性側の不貞で離婚は風当りがきつい』と彼女は言っていた。
そんな話を昨日ベストフレンドたる鈴木に話した。
私はそれを面白おかしく語り、「旦那も災難だよなあ」とへらへらしていると、ベストフレンドたる鈴木は非常に怪訝な表情をした。
「まあ・・・真面目に生きてほしいよねこれからは」と彼は言った。
そこで思い出した。
ベストフレンドたる鈴木も嫁の不倫で離婚していた。
私はすぐに話題を芸能人の不仲による離婚にすり替え、なんとか事なきを得たものの、彼の出すなんとも言えない暗い雰囲気はなかなか厳しいものがあった。
鈴木と元嫁は大学の同級生だった。
お世辞にも美人と呼べない、というよりは限りなくブサイクよりの女性だったが、姉貴肌を発揮するのが好きなタイプらしく、ありとあらゆる男子によく絡んでいた。
彼氏がいるにも関わらず、学内では常に男性陣の近くを陣取り、所謂オタサーの姫のようなポジションを死守することに全てを賭けるようなブスだった。
ケンカをするたびに同級生の男性を連れ、一緒に仲直りの説得をしてくることを鈴木は心底嫌悪していた。
一度私と一緒にいるときにまた他の男を連れ前日のケンカの謝罪に彼女がきたときがあった。
彼女とその友達は私を見るなり「席を外してくれ」と要求してきたが、鈴木が「そっちは知らない奴連れてきているのに意味がわからん」と拒否したため、仲直り説得の場に同席することとなった。
「彼女も悪いと思っているんだから許してやりなよ」と連れの男性が言うのを聞いて、その地獄っぷりに私は吐き気を催したほどだ。
「毎回あんなのがついてくんの?」と鈴木に尋ねると「ひどいときには俺の家に入ってこようとするからね」と憤った。
結局卒業後晴れて結婚に至り、子宝にも恵まれたわけだが、「嫁の友人達が毎週毎週家にくる」とその生活にうんざりしていた。
そして離婚。
家のものが変になくなったり使用されたりと不審なことが起きていることを訝しんだ鈴木が、各所に隠しカメラを設置しようとした時に、たまたま嫁が目撃。
設置しているのではなくカメラを回収していると勘違いした嫁が不倫を自白し、発覚に至った。
相手は毎週家にくるメンバーのうちの一人で、大学からの同級生だった。
「離婚って鈴木さんが不倫したからですよね?それなのに裁判で有利な条件を叩きつけてくるって彼女言ってましたよ」
後に共通の知人はそう言った。
訊くと私が知っている話は真逆になり、鈴木側が浮気と不倫を繰り返し、嫁を捨てたという話になっていた。
「誰がそれを言ったの?」と尋ねると「〇〇(嫁)さんです」と彼は答えた。
「こないだ有志一同で彼女を励ます会を開いたんです。そこで離婚理由を自ら発表してましたよ」
彼女の醜悪さに私は呆れた。
鈴木の名誉のこともあるのでやんわりと「俺が聞いてる話は真逆だよ」と伝えたが、それ以上この件を言及するのも憚られる気がしたため、深くは話さなかった。
現在も彼女はSNSで子供との仲睦まじい写真をアップしているらしい。彼氏とともに。
特に関わりはないはずなのに、私はブロックされているので見ることはできないが。
する側はいとも簡単に忘れるが、された側は忘れることなんてできない。
いじめと同じ原理だ。
鈴木には幸せになってほしい。