昔の知り合いと会った。

昔からずっとその子のことを好きではなかった。

いつも不満を並べ、いつもひとりぼっちで寂しいと話し、いつも誰かに依存するような女だった。



そんな子がしばらくあわないうちにものすごく人間的に成長していた。


仕事にも人間関係にも大人な意見を述べるようになり、しっかりと周りといい距離感を保ち、いま自分にとって何が一番やらなくてはならないことなのかをはっきりわかっているような。


バカ話のなかで時折みせる現状と将来に対する真面目な表情。

『まあなんていうかみんないい人だからさ。正直充実してるよ』と微笑む顔。




かつての関係は逆転し.ずっと不満と愚痴を吐き続けていたのはその日ばかりは私だけだった。


「まああんまり無理しないでね」

私はそう強がるように彼女に言い放ち、駅まで送った。

彼女がホームに続く階段を上がるのを見届け、私は自分が乗る電車のホームへ1人歩いた。


確実に私は酔っ払っていた。

1人でいるのがどうしようもなく寂しくて寂しくて、本当になんだか寂しくてしょうがなかった。


正気は保てている。理性は失っていない。

でも、お酒のせいにさえしてしまえば、普段は内気な自分でも大胆なことができるんじゃないだろうか。


携帯電話を取り出し、私は想いを寄せる同僚にLINEを送った。

「いきなりすいません。会いたいです。二人で」




そして今日。



まったくLINEが返ってこない。


これはやっちゃったんじゃないか。


これはもうダメだろう\(^o^)/


可能性は薄いが同僚が死んでることもある。


いやむしろあれに返信がないのだから死んでいる。

そういうことにしよう。


まったくもって不毛だ。

その不毛は、間違いなく私が引き起こしているものであった。