数日前にYoutubeにアップされた元女性自衛官の実名顔出しセクハラ告発動画は衝撃だった。
実名も顔も晒した上で、セクハラを受けたと告発する。
それはあまりにも多方面で危険性がある行為だが、まぎれもなく覚悟と勇気の表れだった。
そしてこの女性の言い分を100%真実とした場合、語られた内容は自衛隊の闇であると同時に、男社会の闇でもあった。
内容はいたるところに拡散しているネットニュースを読んでくれれば良い。
東北大震災で家族を失い悲しみの中、避難所で支援を行い被害者達を励ます自衛官の姿に、感銘を受け憧れた女性が成人し自衛官になるということは本当に素晴らしいことである。
同時に使命感や正義感に燃えていたはずだ。
次は自分が誰かを救い、守る番だと。
その彼女が直面した現実が、閉じられた空間でのセクハラに次ぐセクハラであるということは悲劇等ではなく、到底許されないものだ。
記事を読み、彼女が受けた被害内容は本当におぞましい。
『一般ではダメなことが自衛隊では普通だった』と述べているが、まさにその通りで、女性を力で捻じ伏せ、嘲笑し、冗談ですませる行為なんて現代日本で許されていいわけがない。
加害者が「ノリ」や「指導」ですませ、環境に慣れた同僚女性からも見捨てられ、組織に居ずらくなるからと事実を黙認せざるをえない状況へ追い込まれる様は胸糞が悪くなる。
憧れの自衛隊を守るために、泣き寝入りし自死まで考えた彼女の心情を推し量ると胸が痛くなる。
同じ日本国民として、このようなことが起き、彼女を傷つけたことを恥ずかしく思う。
〇
大学のゼミで「高齢化問題の対策及び地域の活性化」についてディスカッションをグループごとに行い、導き出した答えを実際にフィールドワークとしてやってみるという課題があった。
先に言っておくが私が通っていた大学は所謂Fランク大学だが、経営学や経済を専門としており、学生の意識だけはすごく高かった。
意識の高いバカの集団なのだ。
そのバカたちが集まったところでロクな答えなんて出やしない。
私のグループは「地域の地図を作ろう!唯一無二の!」と小学生でも思いつきそうなことを平気で答えとし、発表の際はその地域の高齢者たちの前で白紙の地図を広げ、「ここに皆さんの思い出の場所を書いてください!皆さんが作るんです!この地域を!」とクソ以下のクソバカ発表をやってのけた。
だがまだ私達はマシな方だった。
別のグループは「地域に若者を呼び、活性化させる。若い町をアピールするために、道行く人にコンドームを配り、出会いの場であることを強調する」と発表した。
高齢者たちはほぼほぼ呆れていたが、ゼミの教授は「一見ふざけたアイデアだけども、こういうのが素晴らしいんだ」と絶賛した。
そして実際に彼らは町でコンドームを配り、若い女性のみならず女子高生にまでコンドームを配り、ナンパをした。
もうアウトだ。
バカだしアホだし屑だし、OKを出した教授はクソ以下のクソゲロだ。
打上の場で教授は私を呼び、こう質問した。
「この座席の並びで、一番偉い人がどこに座るかわかるか?」と。
「上座だから一番奥でしょうか」
そう答えると教授は笑いながら私の肩を叩き
「ばかちげーよ。上座のひとつ右だよ」
「そうなんですか?知らなかったです」
「そこだとな、席にきたお姉ちゃんのパンツが一番良く見えるんだよ」
NHKでたまにコメンテーターの仕事もしている教授とは思えない発言だった。
そこにいたゼミの中心たる女性先輩のあきこさんはゲラゲラ笑い、「もう!ちょっと!若者がびっくりするじゃーん!」と笑った。
びっくりしているんじゃない。引いているのだ。
権威ある教授が酩酊しFランク大学生相手にクソしょーもない姿をさらしていることに。
案の定私のゼミ、いや、私の大学で成功した人はいなかった。
コンビニのアイスケースに身体を突っ込み、炎上した奴は有名になっていたが。
あきこさんは就職した会社をすぐに辞め、キャバクラで働き、そこで出会ったオッサンと結婚し子供を出産した。
まるでこの世の全てを手に入れたかのような幸せあふれる投稿を、下町のタワーマンションの中層階から連発している。
子育て、資格勉強、子育て、資格勉強、子育て、資格勉強。
勘違い女のテンプレみたいな人生を、彼女は生きている。
もとからそういう人だったのだ。
〇
「世の中クソだな」と足立透は言った。
それは面白みのない人生を生きる自分を取り巻く環境、くだらないことが当り前に起きる世の中への厭悪がこもった一言だった。
自衛隊のセクハラ事件については決してくだらないことではない。
議論し、改善すべき事案だ。
だがこれを引き起こした加害者たちは、まさにくだらない連中だ。
くだらない連中が、この国を守っている。
まさに世の中クソじゃないか。
再発防止はもちろんのこと、しっかりとした説明を自衛隊に望む。